「ガスの臭いというか、トイレや下水道のような臭いがして…」
イオンモール熊本の2階にあるアパレル専門店従業員・山下直隼さん(21)は当時の状況をこう振り返った。
「地震発生時は家族連れなど数組のお客様がいたのですが、最初は地震じゃなくて搬入のトラックが来たのかなと思いました。普段もトラックが来るとそれなりに揺れるので。でも今回は立っていられないレベルの揺れで、しゃがみ込みました。揺れが収まってからは、とにかくお客さんの避難を最優先に店舗スタッフで外に出るように誘導を始めました。
お客様全員を屋外に避難させた後、スタッフも外で待機していましたが、店長が『地震直後は中の安全の確認は取れた。中に入って荷物をとってきてもいいし、このまま帰宅してもいいよ』などと教えてくれました」
貴重品を店内に残していた山下さんは、モール内に戻ったが、ガス臭に気がついたという。
「財布を取りに再度イオンの中に入ると、他の店舗の従業員がまだ誘導などをしていました。財布は従業員の休憩場所に保管してあったのでそこに行くと、ガスの臭いというか、トイレや下水道のような臭いがしていました。
財布を取って店外に出て、モールの入り口のバス停のあたりに来た頃に『ドーン』という大音響ととも、建物から煙が出ているのが見えました。とっさにまた地震かと思いましたが、あたりに埃が舞って周囲に煙が充満し始めたので、何か爆発したのかなって……。
自分は爆発でケガをするようなことはなかったのですが、近くにいた若い女性3人が割れたガラスを浴びてしまったようで、声をかけると『大怪我じゃないですけど、小指を切ってしまいました』というので、急いでその子達を誘導して避難させ、周囲にいるお客さんも避難してもらいました。
自分が帰路についたのは地震発生の約2時間後の午後6時半ごろでした。恐怖心はあったと思うのですが、とにかくお客さんを避難させなきゃって必死になっていたので大丈夫だったのかもしれません」(山下さん)
また、別の店舗の60代の女性従業員も当時の動揺を伝える。
「イオンで働く際、年に2度の避難訓練をしていたため誘導はスムーズにできました。ただスマホやバックなどの荷物を置いて出てきた従業員もいて、揺れが収まった後に店に戻ろうとしていました。
ウチは店長が『こういう時は戻るのは危ない』と店長からストップがかかった。ただ現場はだいぶ混乱しており店舗それぞれの判断が必要で動いているように見えました。私ももし戻っていたら…」
被害はどこまで広がるのか。懸命な救助活動と安否不明者の捜索が続く。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













