狙われる貧困層の若年層
このゲームらしく見せかけることを「ゲーミフィケーション」と呼びます。子どもはゲームに慣れ親しんでいるので、こういう殺人闇バイトが、魅力的で気軽な遊びのように見えるのです。リクルーターに接触してから子どもが犯罪に及ぶ期間は数日から1か月。子どもたちには、銃撃や爆破事件の前に感覚を鈍らせるためにオピオイド系鎮静剤が与えられます。
そして一旦リクルーターに関わると逃げ出すのが困難です。日本の感覚では驚くべきことですが、スウェーデンでは個人情報や住所はほとんどの場合、一般公開されています。一般的に欧州やカナダは、実は不動産や個人情報が一般に公開されていることが少なくありません。これは社会の透明性を確保するためです。
しかしこういう透明性が犯罪抑制にプラスないっぽうでマイナスにもなります。
リクルーターに接触した子どもは、犯罪を実行する前にすべての身分証明書を提供するよう求められます。したがって不起訴や釈放になっても、ギャングの構成員に個人情報を握られてしまうので、さらなる犯罪を強いられる危険にさらされます。家族に危害を加えると脅すこともあります。個人情報が公開されているので、家族の個人情報や居場所の特定も簡単なのです。
子どもたちはこのような「仕事」をすると、ステータスが上がるのです。すごい犯罪者として自己承認も得られます。
さらにソーシャルメディアやテレビで目にする「服、金のチェーンネックレス、スマートフォン、車、贅沢な生活」が手に入ります。経済的に困窮している子どもたちには魅力的に映ってしまうのです。
こうした背景から、どんな子どもがリクルートされるかというと、主に郊外地域の貧困地帯出身です。
スウェーデンでは1960年代から70年代に、労働者階級向けに公団を作りました。当初は社会主義的な理想を持って提供された住宅だったのですが、社会が豊かになると退去する人が続出。空き室を移民や難民に割り当てたのです。こういう公団は固まって存在していて豊かな地域とは隔絶しており、経済格差もあるのでスウェーデンのほかの階層とは接点がありません。
住んでいる人の多くは移民や難民なので経済的には貧しい家庭が多く、家庭は崩壊しています。そういう地域の子どもたちで、家を追い出され、お金もなにもない子たちが兵士としてリクルートされているのです。ギャングの仲間になれば面倒を見てもらえ、居場所もあり、存在が認められ、大金や武器、服、スマートフォンも手に入ります。













