「バックカントリー」ではない、「禁止行為」である
一部の報道やSNSでは、こうしたコース外滑走を「バックカントリー」と呼ぶ向きもあるが、現場関係者はその表現に神経を尖らせている。
「『バックカントリー』という言葉は慎重に使ってほしい」
ある新潟県警の幹部はそう記者に釘を刺した。本来、バックカントリーとは登山届を提出し、雪崩対策などの装備を整えた上で、自己責任において手付かずの自然を楽しむ山岳アクティビティのことを指す。
「今回のように、レジャー気分で遊び半分にコース外に出て遭難した人たちと、真剣に取り組んでいる愛好家をごちゃ混ぜにすると、愛好家の方々からお叱りを受けます」(県警幹部)
八海山スキー場も同様のスタンスだ。同スキー場には、バックカントリーへ出るための専用ゲートや装備チェックの仕組みは存在しない。
「当スキー場はバックカントリーを推奨しておらず、基本的にはコース外滑走を禁止しています」(スキー場担当者)
ルールを無視した代償は、金銭的にも身体的にも高くつく。多くのスキー場では、コース外で救助を要請した場合、実費請求を行なっている。八海山スキー場も例外ではない。
「パトロール隊が出動すれば、規定に基づき救助費用を請求します」(スキー場担当者)
同スキー場のウェブサイトや場内の掲示板には、遭難捜索費用の負担について明記されている。前出県警幹部によれば、相場は「基本料金が20万円とされ、そのうえで隊員1人につき1時間2万円、スノーモービル出動なら3万円」といった額になることもあり、今回の6人にも相応の請求がなされる見込みだ。
しかし、金銭で解決できるならまだ良い方だ。スキー場担当者は「一番の危険は、命に関わる事故につながることです」と強調する。
コース外では携帯電話の電波が届かない場所や、バッテリー切れで位置特定ができなくなるケースも多い。そうなれば救助に向かうことさえできない。今回の6人のように、極寒の雪山で装備もないまま一晩を明かさなければならない事態も現実に起きている。
「誰かのすべった跡があったから」という安易な動機が、捜索隊を危険にさらし、多額の費用負担を招き、そして自身の命さえも脅かしている。インバウンド景気に沸く雪山の影で、安全とルールの境界線が揺らいでいる。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













