「アニメ戦国時代!?の巻」(ジャンプ・コミックス第40巻)

今回は、泥棒の被害に遭うアニメ制作会社の警備に、両さんと法条が向かうお話をお届けする。

本作が描かれたのは1984年。テレビアニメのクオリティとアニメビジネスを大きく変革させた『機動戦士ガンダム』と、アニメファン世代の若いスタッフによって制作された『超時空要塞マクロス』などが牽引したアニメの一大ブームの余波が渦巻いていた時期だ。

アニメの元絵である「原画」や、絵の線をセルと呼ばれる透明なシートに写し取って色を塗った「セル画」、作画の設計図となる「設定資料」などはファン垂涎の品となり、窃盗の対象になることもあったのだ。

本作をお読みいただく際、本作4ページ1コマ目の、スタジオ入り口のドアに「ただいま見学をお断りして~」という貼り紙があることに注目してほしい。この頃までは、ファンがスタジオを訪れ、制作現場を見学するのをある程度許容していたのだ。

セキュリティ上、また守秘義務の面でも、現代ではとても考えられないのだが、なにごとにも大らか、大ざっぱな時代だった。もちろん近年では、制作関係者がスタジオ内に入るのにもIDチェック、セキュリティチェックを受けるのが必須とされている。

なお本作には、アニメーターの仕事・生活パターンや、作画以降のアニメの制作行程に関する基本的な情報が、簡潔かつリアルに描かれている。

これは『こち亀』作者の秋本治先生が、漫画家としてデビューする以前にアニメ制作会社「竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)」に、アニメーターとして勤めていたことに起因している。秋本先生の実体験に基づいたアニメ制作現場の空気感が、漫画に活きているのだ。

ちなみに本作で登場しているアニメ制作会社は、12月23日からお届けする「アニメ現代事情の巻」(ジャンプ・コミックス第91巻)の舞台にもなっている(ただし本作中のとあるできごとが原因で、社名は変更されている)。

さらに12月25日からは、アニメ制作にデジタル技術が導入され、制作方法が次第に変化していった2000年代の制作会社を舞台にした「現代アニメ事情2の巻」(ジャンプ・コミックス第138巻)もお届けする予定なので、お楽しみに!

それでは次のページから、警備に向かったアニメ制作会社での両さんのおふざけが、とんでもない事態へと発展するお話をお楽しみください!!