「文系ですみません」厳しさを増す韓国就活市場から日本へ

チェさんのような事例の背景には何があるのか。約3万人の韓国人が登録している日本就職支援サービス「KOREC」を運営している株式会社ビーウェルインターナショナル(大阪市)で、キャリアアドバイザーを務める韓国出身のイ・ジフンさん(27)に話を聞いた。

韓国人が日本への就職を希望する背景にあるのは、主に「報酬面」「日本文化への興味」「慣習・言語の近さ」だという。

とくに報酬に関しては「韓国の平均給与は一部の財閥(企業)が引き上げていて、企業間格差がある。何年もかけて財閥への就職にチャレンジし続ける人がめずらしくないほど。財閥以外の企業に就職するなら、日本企業に就職したほうが良い給与がもらえることも多い」(イさん)

イ・ジフンさん
イ・ジフンさん

そんな韓国で最近流行っているという言葉が「文系ですみません」。

日本では人手不足のIT関連業界でも、韓国では大学などで学んだだけの未経験者は門前払いをくう現状があり、ましてや文系の就職はさらに厳しくなっているという。

「韓国では企業ごとに求められる資格も多く、そうした就職環境の厳しさから、日本をはじめとする海外に目を向ける人も目立ちます」(同)

こうした就活や待遇面の厳しさのほか、「同じ東アジア圏で、上下関係などの価値観や慣習が近い」「距離が近く帰省などの行き来がしやすい」「日本のアニメに興味がある」といった理由もよく挙げられるのだという。

いっぽう、日本企業にとっても韓国人を採用するメリットは多そうだ。

「韓国人男性が経験する兵役では、実家から離れて共同生活をするので、責任感も養われます。部下を束ねる経験により、マネジメント能力も身につくと思います。そのほかにも受験や就活といった厳しい競争を経てきたので、日本企業からは、韓国人は真面目で成長意欲のある人材が多いとみられているのではないでしょうか」(同)

兵役時代のイ・ジフンさん
兵役時代のイ・ジフンさん