「クマの生態に関する研究はまだ歴史が浅い」
自衛隊員による発砲は「必要ない」と話す五領田弁護士。かつて自衛隊のレンジャー隊員だったときに、訓練中にクマに遭遇したこともあるいう。
「今から25年ほど前でしょうか。レンジャー隊員になった後に、先輩と訓練中にクマと遭遇したことがあります。その場所が、昔、クマに襲われて亡くなった隊員の碑があるところで、そこに入る時は空砲が配られるんです。
昔の『64式小銃』という、口径が7.62mmあるもので、空砲でも相当な破壊力があります。今の『89式小銃』は5.56mmなので、口径が全然違うんです。
そしたら、そこにクマ(ツキノワグマ)が出たんです。ただその時は何も思わなかったです。ヒグマは怖いけれど、当時はツキノワグマが人を殺すみたいなイメージはありませんでした」
ツキノワグマに対するイメージが現在とは異なるものだったと話す五領田弁護士。意外にも、クマに関する研究はまだ日が浅いという。
「クマの生態に関する研究は100年ほどとまだ歴史が浅いです。クマに遭遇したときの対策の一つに『うつぶせになって首を抑える』というものがありますが、実際に遭遇したら恐怖心でそうした行動が取れない可能性もあります」
最後に、自衛隊に期待できる対策として次のように話した。
「自衛隊には銃のスペシャリストがいます。自衛隊員としてではなく、たとえば猟友会の準構成員のような形で活動してもらう、というのは一つの手かもしれません。
また、自衛隊は人海戦術を得意としています。鳥や獣を追い出したりする『勢子』のような形で、100人とかで山追いするのも対策として考えられるのではないでしょうか」
クマによるかつてない規模の被害を一日でも早く食い止めるべく、国家レベルの早急な対応が求められている。
文/集英社オンライン編集部











