「これはすごいね。儲かってるんじゃない?」って尋ねると…
陳容疑者はリラクゼーション店の建物を土地付きで2019年8月29日に購入し、昨年2024年11月15日にはリラクゼーション店のほか、リサイクル店や太陽光発電事業、建設業、ホテルや民泊などの宿泊サービスなどを目的とする会社を設立登記している。
店の建物と敷地を容疑者に売却した地元実業家は取材にこう答えた。
「私は陳容疑者のことは直接知らないんです。別の中国人のAさんという人から『友達が台湾マッサージをやるから』っていうんで売ったんですよ。700〜800万円だったかな。それまでは私が新聞の販売店をやってたんだけど廃業したんで空き家になってたんですよ」
陳詩芸容疑者の10年来の友人は、店の開業の経緯などを詳しく知っていた。
「陳さんは台湾から20年以上前に日本に来たと聞いています。私が知り合ったのは10年以上前のことで、彼女は当時は市内の別の場所で“台湾式マッサージ”の店を経営していて、その時すでに日本人の建築関係で働く男性と結婚していました。
その頃は店も繁盛していたし、旦那さんの稼ぎもあったので『自宅兼マッサージ店舗になるような場所が欲しい』と言っていました。
それで今の店を800万円でキャッシュで購入しました。当初は陳さんも施術をしていたんですよ。今は従業員を1人使って経営に専念していたものの、最近は閑古鳥が鳴いていたのでマッサージ(リラクゼーション)では稼げてなかったと思います。旦那さんは変わらず作業着を着て朝出かけて働いていましたけど」
知人によれば、現在の店に移ってきた2019年当時から、物販の仕事も副業でしていたようだ。
「店の前に運送屋さん(の車)が停まって、陳さんが段ボールを抱えて出てくるのを見かけました。当初はその頻度も荷物も少なかったんですが、ここ1、2年はかなり頻繁に運送屋の車が荷物を受け取りに来ていたし、店内にも段ボール箱が足の踏み場もないくらい積まれていました。店の前の住宅も倉庫代わりにしていたので、かなり手広くやってるのかなとは思っていました。
コピー品のCDの類だという噂は聞きましたが、本人に直接聞いた事はありません。ただ、陳さんに『これはすごいね。儲かってるんじゃない?』って尋ねると、口にチャックをする仕草をして何も答えてくれませんでした」
弟が免許をとると軽自動車をプレゼント
この「副業」は陳容疑者の母親や弟だけでなく、近所のお年寄りの男性2人も手伝っていたという。
「陳さんも旦那さんも暮らしぶりも地味だし、ネコや犬の動物が好きで家でも犬を飼っていてお金を使うとしてもそのくらいじゃないですかね。あとは弟が今年、運転免許を取ったからと軽自動車をプレゼントしたぐらいかな。
陳さんは持病で心臓が弱いし、食べても太らないんだと言っていました。中国人や台湾人と仕事してると言っていたから組織的な犯罪じゃなければいいですけどね。
彼女は旦那さんとも仲良く、『映画観に行ってくる』と出かけたり本当に普通の人です。日本語をうまく読めないので、私のところに『これなんて書いてある?』とクレジットカードの明細を持ってきたりすることもあったので、『個人情報だからこれは人に見せちゃダメだよ』と教えた事もありました。
陳さん自身はとてもいい人ですし、何か組織の人間とかではないと思います。ですが、お金を稼ぎたいという思いがあってやってしまったんでしょうか……」
陳容疑者が組織的犯罪に主体的に関与したのか、それとも小遣い稼ぎのつもりが首までどっぷりと浸かってしまったのか。捜査本部の解明を待つばかりだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班