「スペースバルーンの巻」(ジャンプ・コミックス196巻収録)
今回は、両さんが気球で成層圏に到達するお話をお届けする。
人間を気球で成層圏に上げるのに使うのは……スペースバルーンだ。
成層圏とは、地上から10~50㎞くらいの空気の層を指す。雲や雨が存在する対流圏よりも上の層となり、晴れ渡った空間に星がくっきりと見え、地球を見下ろせる「ほぼ宇宙」な高さだ。
成層圏の上は、80㎞までが「中間圏」、そのさらに上の100㎞くらいからは、「宇宙」と見なされている。
飛行機が飛ぶ高度は、およそ10~12㎞程度。国際宇宙ステーションの高度は200km~1000kmの範囲で、気象衛星や放送衛星は3万6000km付近に置かれている。
なお、イーロン・マスクが率いる「スペースX」の6000基に及ぶスターリンク衛星群が展開している高度は、550㎞といったところだ。
もし『こち亀』の連載が続いていたら、両さんは衛星を使った宇宙開発や通信を寡占しつつ、同社に本作以上の手段を講じて果敢に挑戦し、ひと泡吹かせていたかもしれない。
そしてスペースバルーンとは、へリムガスを詰めたバルーン(風船)を浮かせる一般的な気球と同じ原理で、成層圏にまで達するガジェットだ。これにカメラを積んで、「ほぼ宇宙」からの光景を撮影することができる。エンタテインメントや実験のためにスペースバルーンを運用する企業も実在している。
ただし、高度が上がると気圧が減少するためバルーンは次第に膨張していき、30㎞ほどの高度に達すると破裂する。現実のスペースバルーンにおいては、前述のカメラなどは、パラシュートを用いて海上に着水させて回収しているのだ。
そんなところに宇宙服を着用しているとはいえ、剥き出しのゴンドラに乗っかって向かう、両さんには、「バカと煙は高いところに登る」を地で行くクレイジーさを感じてしまう。
それでは次のページから、気球で成層圏に到達する、両さんの危険すぎる挑戦をお楽しみください!!