ホームレスのリアルな月収

そう思いながらも、少しでも手持ちの資金を増やそうとFXに手をだし、さらに多額の負債を負ってしまった。

「信用保証で借金して買った為替が暴落して、借金がどんどん膨れ上がっていきました。最終的に総額800万円近くに…。

ですが、その後も働く気が起きず、最終的に3か月ほど家賃を滞納。保証会社から電話が来て立ち退いてくださいって言われてしまいました。

もちろん滞納した家賃も支払わなきゃいけません。計算すると毎月20万円くらいは借金返済に当てなくてはならない。

そこでまずは生活を立て直すためにAmazon配達用に月3万3千円で借りてる軽バンに住むことを思いつきました。

ようやく借金を返すために毎日働く意欲が出てきたので、とりあえず荷物はレンタル倉庫を借りて全部移動させて、生活が落ち着くまでホームレスでもやるかといった気分でした」

Amazon配達員の仕事は平均すると日給23000円くらい稼げるが、週に50時間までという制限がある。なので働けても週4〜5回が限界のため、それ以外の日はパチンコで日銭を稼いでいる。

「Amazon配達員は繁忙期にインセンティブが入るんですよ。

特に11月末から12月頭に開催されるブラックフライデーというセールはかなり配送料が高くて、インセンティブ含めて月に70万円くらいは稼げます。

あとはパチンコのイベント日に朝から打ちに行きます。イベントが何にもない日に行くと、基本的には負けるのですが、週に2回ほどあるイベントの日に行くと勝率が50%くらいになるんですよ。なのでパチンコだけで月に17万円くらいは稼げてます」

こうして毎月、かなりの収入を得ているが、家を借りたいという欲求はないという。

「最初は、働いてきちんと借金を返していける土台ができてきたら、1人暮らし用の狭い家を借りようと思っていたんです。

でも軽バン生活を続けていくうちに、この生活で家を借りたとしてもきちんと家に帰るだろうか? と思ったんです。

今でもAmazon倉庫の近くに車を停めて寝て、朝一ですぐ仕事に取り掛かれるような動きをしているので、よく考えた結果、まだ家はいらないという選択肢になりました」

車内で器用に寝る田川さん(筆者撮影)
車内で器用に寝る田川さん(筆者撮影)