「思い出写真の巻」(ジャンプ・コミックス31巻収録)
今回は、新米警察官の両さんが、葛飾署勤務を拝命し、昭和中期の亀有に現れた日のお話をお届けする。
ところでみなさんは、両さんが革靴を履いている姿をご覧になったことがあるだろうか。
両さんの履き物といえば、素足に便所サンダル……というのがすっかりお馴染みだ。だがこれは当たり前だが、警察官の服制の規則に反している。特に制服警察官ならば、なおさらだ。
服制については、「勤務中は、制服、制帽、制服用ワイシャツ、ネクタイ、ベルト及び靴を着用し、並びに帯革、手錠並びに階級章及び識別章(長官にあっては警察庁長官章、警視総監にあっては階級章)を着装しなければならない」としっかりと定められているのだ。
もっとも、黄色い特注品の制服を身にまとった中川や、ピンクのミニスカートを履いた麗子が勤務する亀有公園前派出所においては、たいした違反とは見なされないかもしれないが……。
もちろん、いくら両さんとはいえど、初勤務の日にはちゃんと革靴を履いていた。それがどうして便所サンダルがデフォルトになったのか、本作ではその訳が描かれている。
ちなみに便所サンダルとは……。一般的には、ポリ塩化ビニル製のサンダルを指す。耐久性や耐水性、抗菌性にすぐれているとされており、学校や病院、公共施設、ベランダでの履き物として利用されている。
両さんが履いている木製の品は、どちらかというとサンダル下駄とでもいったところ。これは、旅館の共同トイレくらいでしかあまり目にすることがないだろう。足の甲を覆ったサボサンダルや、クロックスが全盛の昨今においては、強いレトロ感覚を醸し出している。
ちなみに、「両さんの便所サンダル」のイメージのためか、グリーン帯の品は個人の客に売れているようだ。
それでは次のページから、若かりし両さんが大暴れする昭和感たっぷりのエピソードをお楽しみください!!