「思い出写真の巻」(ジャンプ・コミックス31巻収録)

今回は、新米警察官の両さんが、葛飾署勤務を拝命し、昭和中期の亀有に現れた日のお話をお届けする。

ところでみなさんは、両さんが革靴を履いている姿をご覧になったことがあるだろうか。

両さんの履き物といえば、素足に便所サンダル……というのがすっかりお馴染みだ。だがこれは当たり前だが、警察官の服制の規則に反している。特に制服警察官ならば、なおさらだ。

服制については、「勤務中は、制服、制帽、制服用ワイシャツ、ネクタイ、ベルト及び靴を着用し、並びに帯革、手錠並びに階級章及び識別章(長官にあっては警察庁長官章、警視総監にあっては階級章)を着装しなければならない」としっかりと定められているのだ。

もっとも、黄色い特注品の制服を身にまとった中川や、ピンクのミニスカートを履いた麗子が勤務する亀有公園前派出所においては、たいした違反とは見なされないかもしれないが……。

もちろん、いくら両さんとはいえど、初勤務の日にはちゃんと革靴を履いていた。それがどうして便所サンダルがデフォルトになったのか、本作ではその訳が描かれている。

「質素大好き!の巻」(ジャンプ・コミックス48巻収録)より。空腹のあまり、革靴を調理して食す。「ジャーキーのようなもの」といっていたが、ジャーキーは革ではなく干し肉です……
「質素大好き!の巻」(ジャンプ・コミックス48巻収録)より。空腹のあまり、革靴を調理して食す。「ジャーキーのようなもの」といっていたが、ジャーキーは革ではなく干し肉です……

ちなみに便所サンダルとは……。一般的には、ポリ塩化ビニル製のサンダルを指す。耐久性や耐水性、抗菌性にすぐれているとされており、学校や病院、公共施設、ベランダでの履き物として利用されている。

両さんが履いている木製の品は、どちらかというとサンダル下駄とでもいったところ。これは、旅館の共同トイレくらいでしかあまり目にすることがないだろう。足の甲を覆ったサボサンダルや、クロックスが全盛の昨今においては、強いレトロ感覚を醸し出している。

ちなみに、「両さんの便所サンダル」のイメージのためか、グリーン帯の品は個人の客に売れているようだ。

それでは次のページから、若かりし両さんが大暴れする昭和感たっぷりのエピソードをお楽しみください!!