「アンコール雪之城の巻」(ジャンプ・コミックス28巻収録)

今回は、今から43年前にプロゲーマーの誕生を予期していた!? 『こち亀』初期のエピソードをお届けする。

本作が描かれたのは、1982年。1978年に登場して社会現象化するほど大ヒットしたテーブル筐体式のテレビゲーム『スペースインベーダー』の人気がひと息ついた時代だ。

そして両さんがやっているのは、おそらく1981年に登場したテーブル筐体の『ドンキーコング』だろう。この時代のテレビゲームは、テーブル式がもっとも一般的だったのである。

その後、1980年代後半のゲームセンターの郊外進出や大規模化、大型商業施設への出店などもあり、1990年代にはアーケードゲームの全盛時代が到来する。

この時期は対戦型格闘ゲームがおおいに流行し、うまいプレーヤーを多くのギャラリーが取り囲むといった現象も見受けられた。いわば「プロゲーマー」の先祖のような存在がゲームファンの間で認知されていったのだが……実際にゲームによってギャラや賞金、スポンサー料を得るプロゲーマーが現れだしたのは、2000年代後半以降となる。

そして本作の両さんだが、作中で「テレビゲームのプロになる」と宣言している。それを聞いた中川はドン引きどころか、両さんがなにをいっているのか理解できないのだ。しかし現代に読み返してみると、両さんの「趣味や娯楽に長じた者がプロとして活動するようになる」という視点は、非常に先見性に富んだものだったと思える。

ちなみに本作のゲストキャラ「島雪之城」は、「新雪之城変化!?の巻」(ジャンプ・コミックス28巻収録)で初登場した、変わり者の新人警官。映画やテレビドラマ、舞台、歌舞伎でも展開された、時代小説『雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)』が元ネタだ。

それでは次のページから、テレビゲームに熱中する両さんがプロゲーマー宣言をするお話をお楽しみください!!