今季は投手出身の新監督に注目

――野球のレベルは上がっていると思いますか?

今はレベルが高いっていうけど、「何が?」って。球は速いかもわからないけど、(スピード)ガンだって、昔のは精度が高くなくて5~10キロ遅く表示されてたから、実際は150キロくらい投げてた投手はゴロゴロいた。
しかも今のピッチャーは先発も平気で5、6回で降りるし、中継ぎなんて1回だけ。そんな少ないイニングなら球速も出るよ。ゴルフのドラコンみたいなもん。

「球速表示なんかアテにならん」という江本氏
「球速表示なんかアテにならん」という江本氏
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――レベルもそうですが、殺伐とした球場の雰囲気だったり、昭和のヒリヒリした野球を知るファンも少なくなりました。

俺らのときなんてガラの悪いファンばっかりだからね(笑)。ベンチの上で足をブラブラして座るやつもいるし、西鉄(ライオンズ)のファンなんて自分のチームが負けると持ってた一升瓶を割るから、その破片が飛んでくるんだよ。

チームバスに乗り込むにも危ないから機動隊の盾の下を通って行かなきゃいけない。バスに乗れても石が飛んできてビシビシ窓を割ってくるから安心できなかったね。

相変わらず矍鑠(かくしゃく)と球界を斬りまくるエモやん。しかし、つい数年前までは5年生存率7%の大病を患っていた事実は見逃せない。#3では、江本氏の闘病生活について話を聞いた。

#3へつづく

取材・文/武松佑季 撮影/村上庄吾