自己アピールが苦手な日本人

MMBH留学だけではなく、世界各地の海外大学の情報や現地の日本人学生の体験談などを掲載するメディアプラットフォーム「留パス」も設立している。

生の情報、それも主観的な情報が得られるのは、このご時世だからこそ重要なポイントだろう。

情報面からも留学業界を盛り上げる岸谷だが、MMBH留学ではどのようなことに力を注いでいるのか。

「海外の大学は企業のような存在です。そのため、どうやって自己アピールをすればよいのかが非常に重要になります。

しかし、この自己アピールの方法が日本とは決定的に異なるため、日本人はそこで勝てないことが多いのです」

そこで、MMBH留学ではアメリカ式、世界式、グローバルスタンダードの自己アピール方法を受講生たちに教えている。

例えば、アメリカでは志望理由エッセイが受験では最重要視される。

そこで、同社のプログラムでは1対1のセッションで講師と共に、コメント、エディット、フィードバックという3つの軸で書き進めていく。

具体的には、コメントを残しながら「この文章をこういう言い方にしよう」とエディットを加えたり、「これは意味が分からないから理由を聞こう」といった具合に修正。

さらに、全体を段落ごとに分けてフィードバックを繰り返し行い、何度も壁打ちのような形で仕上げていくというのだ。

同社のメソッドは海外のトップ大学や大学院への受験に特に強みを持っている。しかしトップ層のみだけでなく、将来的に留学してみたい人たちや、語学留学準備をしたい層まで、留学に関して幅広くサービスを展開している。

「アメリカに行って気づいたことですが、みんな圧倒的に自己アピールに長けています。その背景には、アイデンティティの確立があり、これは自己ブランディングの一種とも言えるでしょう。

そもそも、プレゼンテーションや議論を学校教育の段階で叩き込まれているため、自分のアピールの仕方を自然に身につけています。

しかし、日本人にはそのような様式がない。だからこそ、その方法を僕たちが教えてあげるのです」

海外のトップ大学で戦うための「戦い方」を教えることができるのは、岸谷自身が実際に体得してきたからだ。

岸谷蘭丸(撮影/井上たろう)
岸谷蘭丸(撮影/井上たろう)

「僕は過激派の留学推進者ではありません。留学が必要ない人もたくさんいると思いますし、留学には確実にダウンサイド(悪い面)もあります。誰もが留学に行けばいいというわけではありません。

その一方で、『戦いたい』という意志を持つ人がいるのであれば、戦える環境を整える必要があると思います」