佐々木朗希を縛るのは日本社会の衰退を意味する
今回の佐々木のメジャー挑戦表明について外山氏はどう思っているのだろうか。
「野茂英雄氏がメジャー挑戦した時も同じような批判があったが、30年前のあの時代は“終身雇用”の名残りもあり、社会も時代も旧態依然としているものがあった。当時と今は、時代も社会も大きく変わり、動いているのに、どこか社会の風潮だけは未だに旧態依然としたものがある。
佐々木選手のメジャー挑戦に対して、球団に対する恩義や貢献度をあげて批判する方もいるが、彼は球団との契約の中で毎年結果を残し、年俸という形で評価を受けている。球団への恩、会社への恩。見えないもので縛ろうとするのは日本社会の悪い慣習であり、それが日本の生産性を下げているところもある。
能力を買われて、ヘッドハンティングされ、必要なところで、その能力を発揮するのは欧米はもとより、今の日本でも当たり前になっている。そして、それが失敗した場合は自分で責任を取らなくてはならない。誰にも責任はとれない。彼が日本球界で野球を続ければ、安泰だろうし、環境的にも楽だとは思う。
そんな、「安全地帯」からあらゆるリスクを取ってでも、大きな夢に挑戦する若者は希望の星である。若者の大きな志、挑戦を、批判し、縛るような社会であるならば、日本は衰退していく。我々は佐々木選手を温かく見守り、彼の挑戦を応援してあげるべきです」
またそもそも、佐々木とロッテの間には、“入団から5年経過したらメジャー挑戦を認める”との約束が入団時に交わされていたという説もある。そのため、この件で佐々木はもちろん、ロッテの決断についても、外野がどうこう言う話ではないのかもしれない。
なにはともあれ来年、夢の舞台で佐々木が笑っている姿を見るのが楽しみだ。
取材・文/集英社オンライン編集部