70億円の機会損失にロッテファンは…

佐々木は常々、MLBへの憧れを表明していたが、それを阻んできたのは“25歳ルールだ”。MLBでは25歳未満の海外選手を獲得する際には、マイナー契約しか結べないというルールが導入されており、これによって契約金や年俸の上限も低くなっている。

佐々木が所属していた千葉ロッテマリーンズが、佐々木を獲得したメジャーの球団から受け取ることができる譲渡金も、これに応じて低くなってしまい、ロッテとしてはうまみが少ない。

本拠地最終戦セレモニーでファンに手を振るロッテ・佐々木=ZOZOマリン(写真/共同通信社)
本拠地最終戦セレモニーでファンに手を振るロッテ・佐々木=ZOZOマリン(写真/共同通信社)

そこで、25歳まで日本でプレーしたのち、多額の譲渡金を球団に残せるかたちでメジャーに挑戦するのが“道義”であると、ロッテファンのみならず、そのほかの日本プロ野球のファンからも言われていたのだ。

現在、佐々木は23歳。あと2年待てば、何十億円もの利益をロッテにもたらすことができた可能性は高い。

これについては今年度からメジャーへ行き、ロサンゼルス・ドジャースに入団した山本由伸が理想的な例とされており、彼は12年総額3億2500万ドル(約465億円)の超大型契約を結んだことで、オリックスには5062万5000ドル(約72億円)の譲渡金が入ることになった。

仮に今オフ、佐々木がメジャーに移籍したとして、ロッテに支払われる譲渡金は3億円未満とされている。佐々木クラスの選手ならば、活躍次第では2年後に山本と同じクラスの契約をできた可能性もあるだけに、ロッテは約70億円もの機会損失をしてしまったのだとファンは嘆いているのだ。

海浜幕張駅前のモニュメント(写真/ Shutterstock)
海浜幕張駅前のモニュメント(写真/ Shutterstock)

SNSを見ると、過激な言葉で佐々木を責める声も多く確認できる。

〈メジャーに行くことで球団にメリットがないならそれはファンに対する裏切りでしかないんよ〉
〈佐々木朗希すげーな。大不義理にも程がある〉
〈そんなにロッテが嫌いか? なら俺もお前のこと大嫌いだわ〉
〈球団の意向一切無視、それどころか恩を仇で返すだけの自己中選択はさすがに引く。球団への感謝とか人の心ないんか〉

佐々木の今回のメジャー移籍をロッテが許したことで、NPBの“悪しき例”ができてしまったと嘆く声まである。