「政商」義父の威光を笠に着るエリートVS身長190センチの肉体派
党内で懸念されているのが、新たな逆風が与える激戦区への影響だ。
自民党は世論調査と並行して、接戦が伝えられる選挙区の洗い出しも進めた。その結果、全国38の選挙区を挽回が必要な「最終盤重点区」と位置づけ、選挙対策の見直しを急ピッチで進めている。
本サイトが独自に入手した、その重点区リストがこれだ。
「なかでも注目は、自民と立憲がともに40代の候補を立てて激突する『東京10区』だ。自民党からは経済産業省出身で47歳の鈴木隼人氏が4期目の当選を狙って出馬。対する立憲は党の副幹事長を務める48歳の鈴木庸介氏を立てており、2候補による事実上の一騎打ちの構図となっています」(前出の政治部記者)
自民候補の鈴木隼人氏は東大大学院から経産省に進んだエリートで、2期目で外務大臣政務官に抜擢された若手のホープだ。
2017、2021年の過去2度の衆院選では小選挙区で連続当選を果たすなど、選挙でも着実に力を付けてきているが、後ろ盾となっている「大物」の存在も強みになっている。
「鈴木隼人氏の義理の父は、パチンコ・パチスロ機メーカー『セガサミーホールディングス』の創業者で、同社の代表取締役会長を務める里見治氏です。里見氏は政財界やスポーツ界に大きな影響力を持つ『政商』としての顔も持ち、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の旗振り役になってきたことでも知られています。
2013年に里見氏の娘と鈴木隼人氏が開いた結婚披露宴には、安倍晋三氏や小泉純一郎氏、森喜朗氏と歴代総理が駆けつけ、政界での影響力の強さを見せつけました」(同前)
対する立憲候補の鈴木庸介氏は身長190センチの体躯を備え、立教大レスリング部でキャプテンを務めた〝肉体派〟。NHK記者を経てコロンビア大大学院でMPA(行政学修士)を取得した変わり種。
「企業・団体献金を一切受け取らない」とも公言している市民派で、ピカピカの経歴と強固な金脈・人脈を持つ鈴木隼人氏とは同姓ながら対照的なキャリアを歩んでいるといえる。
「自民と同じく、立憲も東京10区を重点区に据えており、辻元清美参院議員や長妻昭代表代行を応援に送り込んで票の掘り起こしを図っています。
自民陣営側は『相手はあまり派手な動きはしないが、支持層固めはしっかりしているようだ』と警戒を強めている。立憲は25日に蓮舫氏の投入を予定している。庸介氏は蓮舫氏を都知事選で先陣をきって担いでいたことから、“蓮舫の恩返し”となった」(同前)