「嗚呼、愛しのF40(エフフォーティ)の巻」(ジャンプ・コミックス62巻収録)

今回は、フェラーリF40のオーナーである中川の知人を訪ねるお話をお届けする。

F40は、高級スポーツカーメーカーのフェラーリが創業40周年を記念して1987年に送り出したアニバーサリーモデルだ。

1970年代のスーパーカーブームでもっとも人気の高かったランボルギーニ・カウンタックを愛車としていた中川が、F40に乗り換えたのを、覚えている古参『こち亀』ファンも多いだろう。

創業者エンツォ・フェラーリが企画した最後の車種で、約3LのV8DOHCエンジンにはツインターボとインタークーラーが装着され、478psの最高出力と58.8kgmの最大トルクを叩き出す。

最高速度は324km/h、0-200km/h加速は12.0秒、0-1000m加速は21.0秒と公表されていた。

現代では軽自動車でも当たり前となったパワーステアリング、パワーブレーキ、オートマチック・トランスミッションといった装備が採用されず電子機器によるサポートもないため、運転には技術を要する。敷居の高い古典的なスーパーカーだ。

ところが実際のF40オーナーは、スポーツ走行には縁のない人も多かった。

もちろん車両価格が4500万円もするため購入する層が限られているのだが、なにしろ世はバブル景気の真っただ中。投資目的で購入されることも多かったのだ。

「走る不動産」などと呼ばれ、土地転がしならぬ「F40転がし」により、2億5000万円もの値をつけた個体もあったほどだ。

そして本作で登場するF40はというと……おそらく日本人が所有する同車のうち、もっともぞんざいな扱いをされた個体だろう。ぜひ読んで確認をしてみてほしい。

それでは次のページから、フェラーリF40オーナーの豪快すぎる「小金持ちさん」が登場するお話をお楽しみください!!