「結婚や出産はぜいたく品」という時代

団塊ジュニアは悲運な世代であることが、令和になって様々な識者から指摘されるようになりました。

1学年が200万人を超えて、受験戦争が激しく、やっと大学を卒業しても、深刻な就職氷河期と重なりました。

進学、就職で激しい競争を強いられ、脱落した者をケアすることなく、負けた者は非正規雇用の貧困者に落として低賃金で働かせました。  

写真はイメージです 写真/shutterstock
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団塊ジュニアが社会に出てから勝ち組と負け組の格差は広がって、男性も女性も結婚どころではなくなったのです。

アラフィフのみなさんは格差社会の第一人者なのです。競争に負けた男性の低賃金労働者は自分の生活を支えるだけで精一杯、経済的な理由でとても結婚はできません。

一方、勝ち組の女性は、男性と同じように働いたので結婚どころじゃなくなりました。気づいたら男性も女性も、「結婚や出産はぜいたく品」という時代となってしまったのです。 

団塊ジュニアの結婚適齢期は1990年代半ば~2000年代前半でした。 

本来ならば多くの国民が適齢期に結婚&出産し、第三次ベビーブームを迎えるはずでした。

しかし、おもに経済的な理由による非婚化によって出生数は減るばかりで、多くが結婚という道を選択しなかったことで、生涯未婚率が昇竜拳のように急上昇することになったのです。 

この国を揺るがす重大な分岐点で、人口のボリュームゾーンである団塊ジュニアを国がケアしていれば、日本はいまのような深刻な状況に陥ることはなかったはずです。

ケアとは企業に新卒採用を促して就職氷河期を回避するとか、非正規労働の制度を回避して若者の良質な雇用を維持する、みたいなことです。 

しかし、その分岐点に国は徹底した新自由主義に走りました。新自由主義とは経済合理性や利益を優先し、政府の市場介入は最低限にするという考え方です。

人口のボリュームゾーンである団塊ジュニアが社会に羽ばたいた途端、雇用の非正規化をはじめ、低賃金やブラック労働が蔓延。

いままで地域や社会が介入した結婚も自由化して、結婚しない人、できない人が激増して悪化がとまらないまま現在に至っているのです。