「疑似恋愛」以外で利益を生み出す“別の柱”の必要性
では、どういった状態ならば減益リスクを最小限にとどめられるのかと言えば、そのアイドルが「疑似恋愛」以外のジャンルで大きく利益を生み出せる“別の柱”を持っているか否かが、分水嶺になってくる。
“別の柱”の代表例を挙げるなら俳優業や司会業。
役者やMCとしての実力・実績が高いレベルに達していれば、結婚をしてもビジネス的なダメージは最小限に抑えられるはずだ。
俳優業で成功を収めているSTARTO社の既婚タレントと言えば、まずは元SMAP・木村拓哉。また昨年に退所してしまったが、元V6・岡田准一や嵐・二宮和也も映画やドラマで数々の代表作を持っており、旧事務所所属時代に結婚をしても役者としての地位は揺らがなかった好例である。
司会業で言えば、元V6・井ノ原快彦、TOKIO・国分太一あたりが挙がってくる。
今年結婚を発表した6人のうちで考えると、独自のアーティスト路線を切り開いている堂本剛や、小説家としても活動している加藤シゲアキらも、“別の柱”を確立していると言えるのではないだろうか。
さて、「アイドルの結婚」の是非を考える際、やはり2000年12月に歌手・工藤静香と結婚した木村拓哉のケースは特筆しておくべきだろう。
彼が結婚したのは28歳。SMAPというグループが国民的な人気を誇り、アイドルとして全盛期だった頃である。
俳優としても数々のドラマに主演しており、結婚当時の代表作は『ロングバケーション』(1996年/山口智子とダブル主演/フジテレビ系)、『Beautiful Life ~ふたりでいた日々~』(2000年/常盤貴子とダブル主演/TBS系)。役者としてキャリアを築き上げてはいたが代表作が恋愛ドラマだったので、その実績は「疑似恋愛を提供するサービス」の延長線上にあるとも思われていた。
そのため彼が結婚を電撃発表した際、人気が急落し、ビジネス的に大損失になるのではとの見方は少なくなかった。