「株は究極のボケ防止や」
──株が最もおもしろい博打という感じでしょうか。
ちゃう。株は博打とは違って、日々の情報収集とデータ分析、勉強がものをいう世界や。株をはじめたばかりの頃には、たまたま勝って小金を手にすることもあるけどな。
長く勝ち続けるには運だけでは駄目で、勉強が必要や。僕はその日の取引履歴を手書きでノートに記録して、すべての取引を反省することで次の取引に繋げてるんですわ。
──すべて記録を取っているとはすごいですね。この記録はどのくらい見返すのでしょうか?
取引が終わった直後に、その取引がよかったのか悪かったのかを反省はしますが、それさえ終わればもう見返すことはないな。次の取引に繋げる必要はあるけど、「どれだけ儲かったか」「どれだけ損をしたか」と過ぎ去ったことばかりに執着してしまうのもよくないからな。
投資を続けていくためには成功・失敗にかかわらず、あまり過去にこだわらないことも重要な秘訣や。
──なるほど。メモすることを通して反省ができればよく、その後は見返しすぎないということですね。
そや。我が家にはネット取引をはじめた2002年からのすべての取引の記録がノートに保管されてますよ。そんな風にすべての取引を記録して反省しながらデイトレードを続けた結果、87歳で資産は18億円まで増え、月6億円を売買するまでになったんや。
──ちゃんと結果が出てて、すごいですね。
「すごい」とはよく言われるけどな、僕からすればまだ十分とは思えんなぁ。僕の生活は株を中心に回ってるから、その労力を思うと18億円でも見合うとは思うなぁ(笑)。
──(笑)。藤本さんは87歳で現役バリバリですが、年齢による衰えを感じたりはしないのでしょうか。
確かに年を取って記憶力は低下してきたな。デイトレードをしていても、今自分がいくらで注文するつもりだったか忘れてしまうこともありますよ。でも、それは仕方のないことやと思う。
それを補うためにも、メモを取っているんですわ。ひとつひとつの取引をメモに書いて反省することは、頭ではなく身体に覚えさせることになるからな。「記憶力が衰えた」と落ち込んでいても何も変わらへんから、自分ができることをするしかないんや。
──なるほど。
ただ、記憶力は衰えても、判断力は衰えていないと感じるなぁ。もし判断力が衰えていたら、瞬時の判断が求められるデイトレードで勝ち続けることはできないやろ?
「能力が衰えてきた」と思う高齢者の多くは、ふだん頭を使ってないからや。そりゃあ60歳とか65歳までバリバリ仕事をしてきた人が定年になった途端に頭を使わなくなれば、一気に衰えるやろ。
僕のように丸一日頭をフル回転させていれば、そうそう判断力は衰えない。頭は使い続けることが大事。株は究極のボケ防止や。「もう自分は年を取ったから」というのは逃げ文句ですわ。