■林さんのお気に入り&オススメ!
――今回の「-ODEKEKE-」に収録されている絵で、林さんのお気に入りのイラストを教えてください。
林 まずは宇宙遊泳の絵です。本編では絶対に見られないであろう、楽しい絵です。
正装してシャンパンを持つ3人は、色々なお祝いの広告や宣伝に使えて便利ですね。
アーニャのファッションショーも大好きです。
ドッジボール回の扉絵は某児童漫画っぽいテイストで、ノスタルジーに浸れて大好きです。
お盆イラストや毎年の年賀状など、世界観に囚われず自由に描かれたものも気に入っています。遠藤先生は「私用の年賀状なので、急いでラフに描いた」と仰っていましたが、全然ラフに感じませんでしたし、年末進行の疲弊明けなのに、楽しんで描かれたのでは(笑)。
――ぬりえのオススメの遊び方はありますか?。
林 前巻ではぬりえコンテストが開催されて、遠藤先生に審査していただいたのですが、まず投稿者の年齢層に驚きましたね。小さいお子さんの思いのままに塗りたくっている感じの絵も可愛いですが、70~80代のご高齢の方で、すごく上手い方もいらっしゃいました。
あらゆる年齢の方に、とにかく自由に楽しんで欲しいです。もちろんお手本通りに塗って、遠藤先生の配色センスの素晴らしさを確認するのもいいと思います。
――先ほどのお話にも挙がりましたが、「まんがノベライズ」「ワークブックシリーズ」などの企画が展開されています。漫画編集以外の『SPY×FAMILY』のお仕事はどうでしたか?
林 どの企画も「少年ジャンプ+」の読者層とは違いますが、いずれも『SPY×FAMILY』に連なるファンアイテムでもあるので、子供向けでもデザインコンセプトなどはずらさないようにしたいですね。遠藤先生がすべて描かれていなくても、本物感をどう出していくか、とか。
ちなみに遠藤先生セレクト・特別カラーの色鉛筆(ホルベインアーチスト色鉛筆12色セット)も発売されますが、こちらは遠藤先生のご希望です。すごく時間をかけて、1本1本の色を選んでいただきました。こういった幸せな仕事もできる作品になりましたね。
――主なターゲットが低年齢層というのも、普段の読者と異なりますね。
林 僕にはちょうど6歳の息子がいて、よく遠藤先生に幼稚園の話をお伝えしています。友人の家族と遊んだり一緒に旅行に行ったら、そのときの子どもたちの振る舞いとかも。
今6歳ということは、去年はアーニャと同じくらいの年齢、そして今はダミアンやベッキーと同じくらいの年齢です。そう考えるとダミアンたちは頭がいいなぁ、さすがエリートだと(笑)。
低年齢向けの漫画誌の仕事もやってみたいです。子どもたちに何かを届ける仕事というか。おもちゃを自分で開発するのも楽しそうですね。
――それでは最後に、「オペレーション〈着彩(イロヌリ)〉」を楽しんでくださる読者へメッセージをお願いします。
林 ご家族皆さんで楽しんだり、お孫さんを喜ばせたり、イラストレーター志望の方が遠藤先生の線画に塗って勉強したりと、どんなモチベーションでも結構ですので『SPY×FAMILY』の着彩(イロヌリ)を楽しんで欲しいです。 遠藤先生の絵は本当にすばらしく、“今の読者に刺さっている線”です。この線画をじっくりと見る機会は貴重なので、そういった楽しみ方もしていただけると嬉しいです。
構成/中嶋竜 撮影/井上果音
本文中イラストすべてⓒ遠藤達哉/集英社
遠藤達哉
2000年、『西部遊戯』で第5回ストーリーキング漫画部門準キング賞受賞。2007年、「ジャンプSQ.」創刊号より『TISTA』連載開始。2019年より「少年ジャンプ+」にて『SPY×FAMILY』連載開始。「次にくるマンガ対象2019」Webマンガ部門1位、「このマンガがすごい!2020」オトコ編1位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2020」1位、第52回日本漫画家協会賞コミック部門大賞(2023)などに選ばれる。現在シリーズ累計3500万部突破(2024年3月)。
林士平
1982年生まれ。東京都出身。2006年に集英社入社。入社後は「月刊少年ジャンプ」に配属。入社2年目に「ジャンプSQ.」に異動し、雑誌の創刊に携わる。2018年より「少年ジャンプ+」編集部スタッフ。『SPY×FAMILY』のほか『チェンソーマン』『ダンダダン』など、数々のヒット作品を手掛ける。また、アニメ・舞台・イベントの監修やプロデュース、アプリ開発など多岐にわたって活躍中。過去立ち上げ作品として、『青の祓魔師』『ファイアパンチ』『左ききのエレン』『地獄楽』『ルックバック』などがある。