公園利用者の反応は…?
杉並区立の公園でこのような撮影を行なう場合、事前に区への申請が必要だ。もし区が撮影を認めていたのならば、メーカー側も誹りを受ける筋合いはない。だが、杉並区都市整備部みどり公園課の担当者に問い合わせると「今回の件については、制作元から撮影の申請自体がきていない」と困惑する。
「本来であれば、申請の際に企画書の提出をしていただき、公序良俗に反するものや、暴力シーンがある撮影などはお断りしています。ですが、今回の件については撮影申請自体がなかったので、いずれも無許可で撮影されたことになります。
そこで私から制作元に問い合わせて事実確認したところ、『撮影をしました』と認めてきたので、3月中旬ごろに電話で抗議の意を伝えて、制作元の責任者に謝罪してもらいました」
しかし、これで事態はおさまらない。このような撮影を行なう場合、1時間あたり1万6857円の占有料金がかかると記載されている。前述の区議会議員は「現在、SODは公園の使用料を踏み倒しており杉並区に損害を与えている」と主張。このことについて担当者はこう頭を抱える。
「区立公園の使用料は撮影申請を許可した場合のみ徴収しており、手続きそのものがない今回のケースは当てはまりません。
むしろ、使用料をもらうと撮影を許可したことになってしまうため、区としてはお金を取るわけにはいかないのです」
一方、公園利用者たちはこの問題をどう思っているのか。芝生エリアの桜が咲き始め、春の訪れを喜ぶように無邪気に子どもたちが遊ぶ3月下旬に同公園に出向き、利用者たちに話を聞いてみた。
「ここは杉並区でもかなり大きい公園だし、息子と同じくらいの年齢の子も多いので安心して遊ばせられるんです。それなのにああいう作品の撮影がされてたかと思うとちょっと複雑な思いはあります」(30代・男性)
「ここは川遊びもできるし、ワンちゃんの散歩に訪れる人もいて、みんなの憩いの場として知られている場所です。まだ繁華街やホテル街にある公園で撮影するなら百歩譲ってわかるのですが…」(40代・男性)
このように不安を口にする人が多いなか、蚕糸の森公園の近くで屋台を営業する男性によると、この公園はたびたびドラマの撮影にも使用されるという。