「Cityscape Studio」Youtubeチャンネルの動画を見ると、手のひらに載せたジオラマのビルを青空の下で写したり、地下道入口の屋根に1円玉を置くなど、情景模型の中に実物が映っているカットが出てくる。スクランブル交差点の動画では、情景の中に指を伸ばしているサムネイルが印象的だ。
「比較対象があると、反響もより大きくなります。手かコインか、比較対象(サイズ感が誰にでもわかるようなもの)を必ず置くようにしています」
これらの撮影方法は、国内外の有名なモデラーの方法を参考にしている。情景にコインや指を置くと、サイズ感をより知ってもらいやすくなり、実際にYouTubeのサムネイルにサイズの比較対象を置くか置かないかで、動画の再生数にも大きな差があるという。また、これまではiPhoneのみで撮影してきたが、最近はデジタル一眼レフカメラも導入し、撮影技術の向上にも余念がない。
筆者は大学時代に渋谷に通っていて、当時スクランブル交差点を何度も歩いたので、ジオラマ上の人々の姿に懐かしさがこみ上げてきた。確かに、時代とともに変化する街並みの在りし日の一場面が、ジオラマの中に見事に再現されていた。
最後にMAJIRI氏は「どの作品も下から見上げるような視点で見ていただきたいなと。下から見上げると『おぉ!』ってなるようにリアルに作り込んでいますので、下からの視点で楽しんでいただければモデラー冥利に尽きます!」とコメントした。
東京・巣鴨「さかつうギャラリー」の「オンリーレッド×モーリン 新時代の模景展」は6月19日までの開催。MAJIRI氏が制作した、渋谷スクランブル交差点を含むジオラマ作品が3点展示されている。驚くほど小さいながら、圧倒的なリアリティを持った情景を、ぜひ実物で体感してほしい。
撮影:是枝 右恭