芸能界で生き残りをかけた熾烈な争いの影響

盛んに言われていたのは「ずっと清純派だと役の幅が広がらない。これからの役者人生を考えたら、一度卒業しないとダメだ」みたいな論調である。

一見、もっともらしく聞こえる意見である。確かに昔はその手の風潮もあったのだろう。
しかし現代の「清純派」イメージの人を見ると果たしてそうかなと思う。

綾瀬はるか、有村架純、新垣結衣といった人たちは「清純派」とカテゴライズしていい俳優さんだが、役の幅が狭まっているようなことはなく、さまざまなキャラクターを演じている。

出演する映画やドラマ自体もコメディ・アクション・恋愛・医療モノ……とジャンルもさまざまだし、役どころもワンパターンではない。

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確かに大きくイメージを崩してしまうような役は少ないかもしれないが、別にそれで困ることはない。むしろ「清純派」イメージを守り続けている人たちは常に主演級であり、それを守っているからこそ主役が張れるともいえる。

つまり、今となっては、ただでさえ少数派になった「清純派」イメージの俳優さんが、わざわざそれを卒業するメリットがないということである。

もちろん今でも「体当たりの汚れ役」を機に抜擢される人もたくさんいる。ただそれは無名なところから一念発起してというパターンが多いように思う。

昔は清純派のイメージでデビューする人がワンサカいて、次から次へと新たな清純派が出てきた。そのため、芸能界の競争に生き残っていくためには、その席を降りて次のステージに行くしかなかったのである。