9月の総裁選も乗り切って長期政権を築くのでは
一方、岸田首相は、民衆の中で高まる政権への批判の声を受け、政治資金制度の見直しを図るための党内組織「政治刷新本部」を立ち上げる意向を表明した。しかし、メンバーとなった安倍派の所属議員10人のうち9人に「不記載」が発覚するなど政治不信の払拭には至っていない。政権は、じりじりと追い詰められているようにも映るが、前出のベテラン秘書は異なる見方を示す。
「これまでの流れは、岸田さんのプラン通りにほぼ進んでいるのだろうと思います。思惑通りに安倍派を排除したし、二階(俊博元幹事長)さんも抑え込んだ。というのも、安倍派とともに捜査対象になっているとされる二階派では、安倍派のような資金環流は行われず、派閥内で資金をプールし、そのほとんどを二階さんが握っていたといわれているからです。特捜部は二階さんを所得税法違反の線で狙っていたようですが、どうやら捜査は本丸にまでは及ばなさそうです。
官邸と特捜部が捜査の落としどころについて擦り合わせているとすれば、二階さんに恩を売った形です。菅(義偉元首相)さんが、派閥解消を訴えて目立っていますが、政権をひっくり返すほどの大きなうねりは起こせていないし、安倍派も壊滅して自分の地位を脅かすようなライバルは当面出てくる気配はない。この調子なら9月の総裁選も乗り切って、長期政権を築くのではないかと見ています」
この見立てを裏付けるように、NHKが1月12~14日に行った最新の世論調査では岸田内閣の支持率が昨年12月から3ポイント上昇し26%。共同通信の13、14日の調査でも昨年12月から5ポイント上がって27.3%だった。
相変わらずの低空飛行ではあるが、SNSで広がる「岸田離れ」とは真逆の民意が示された形だ。意外とも思える狡猾さでのらりくらりと政権運営を続ける岸田首相。ただ、その視線の先に国民がいないことだけは確かだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班