家の権利証は紛失しても、不動産売買はできる

●家の権利証
家の権利証が紛失してしまうと、不動産会社売買はできなくなるのだろうか? また誰かが拾って悪用されないか心配という声もある。

「一般に『権利証』と呼ばれているものには2種類あります。ひとつは「登記済証」といって、不動産登記が完了した際に、登記所が登記名義人に交付する書面です。次に売買や抵当権設定をしたりするときに使います。よくイメージされる権利証はこちらかと思われます。もうひとつは「登記識別情報」です。登記済証にかわって、新しく発行されるようになった英数字による12桁の番号情報(パスワード)のことです。
権利証は、登記の申請をする際に、権利証のほかに、所有者の印鑑証明書などの本人確認資料も必要となりますので、権利証を紛失しただけで、土地や所有権の権利を失うことはありません。

そのため、誰かが権利証を拾って悪用し、勝手に登記が変更されるリスクは少ないので安心してください。
また、権利証を紛失しても不動産の売買は司法書士など資格者に依頼して手続きは可能です。」

令和6年能登半島地震により土地・建物の権利証 (登記済証・登記識別情報通知書)を紛失した場合について/法務省
https://www.moj.go.jp/content/001409548.pdf

《災害時に備えたい暮らしのヒント》貴重品を紛失した場合の暮らしの立て直し…通帳、カード、保険証、印鑑、家の権利証、なくなって困るものは?_2
すべての画像を見る

●実印、印鑑登録証
「どちらも、紛失したとしてもそれだけで権利関係に影響があるわけではありません。
実印を紛失した場合は印鑑登録証の廃止手続きを、印鑑登録証は亡失手続きを自治体の窓口で行ってください。
廃止手続きを行ったのち、必要であれば、改めて実印を登録することで新しい印鑑証明をとることができます。」


「こうした貴重品は失っても対策はあるので、倒壊の危険がある自宅に取りに戻ったり、危険が迫っているのに無理に持ち出したりする必要はありません。
今後も、災害が起こったときは貴重品を持ち出すより、命を最優先に行動してほしいですね」


※参考文献/『被災したあなたを助けるお金と暮らしの話 増補版』(弘文堂) /岡本正

※リンク先の情報は1月14日現在のものです。

取材・文/百田なつき