事件の直前には周囲に「しんどい、もう頭がおかしくなっているかも」

大阪では2019年ごろに知人の飲食店を手伝っていたが、酒が入ると客に法外な会計を突きつけるなどのトラブルが絶えず、わずか1ヵ月で閉店させてしまったという。その後に流れ着いたのが、九州随一の繁華街、博多・中洲だった。福岡県警担当記者が語る。

「寺内は体験入店のような形で中州の有名グループのバーに店員として雇われ、川野さんはグループ内の高級ラウンジで働いていました。グループ内では男女交際が禁止なので、2人が付き合っていたことを事件まで知らないスタッフもいました。寺内は酔っ払うと腕っぷし自慢のオラオラ全開になるものの、店長には気に入られていて、川野さんとの交際が発覚してもクビを免れていた経緯もあります。

しかし、川野さんに別れを告げられても応じず、さらにストーカー化して歯止めが効かなくなり、事件の直前には周囲に『しんどい、もう頭がおかしくなっているかも』とこぼしていたようです」

バーにも勤めていた寺内被告(本人SNSより)
バーにも勤めていた寺内被告(本人SNSより)

寺内被告がかつて両親と暮らしていた大阪市福島区の実家周辺を訪ねると、もはや事件の記憶はだいぶ薄れていた。

「俺は寺内進のお父さんと同じ運送会社で働いてたから、もちろん事件のことは当時から知ってたわ。あれからもうすぐ一年か……。俺も記者さんに聞かれるまで忘れとったくらいやし。なんだってストーカー殺人なんてしたんかな。お父さんはもうだいぶ前に病気かなんかして辞めたような記憶があるわ。寺内さんの家族も今は近くには住んでないと思うで」(近隣住民の男性)

寺内被告の同級生の父親も、言葉少なだった。

「事件当時は『同級生がえらい事件起こしたな』ってウチでも話題に出てたことがあったけど、今は子どももなんも話さんわ。もともと深い付き合いでもなかったし、名前知っとったくらいやしな。それでも、知ってる子がああいった事件を起こすのは、ショックだったみたいだけどな」

事件当時、現場に供えられていた花や飲み物(撮影/集英社オンライン)
事件当時、現場に供えられていた花や飲み物(撮影/集英社オンライン)
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川野さんはかつて沖縄の芸能養成スクールに通った経験もある、容姿端麗なラウンジレディで、若手の面倒見もいいベテランだった。またシングルマザーで、両親と同居しながら娘を育てていた。寺内被告が逮捕された1月18日は、39回目の誕生日だった。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班