トガりまくっていた大学時代…同級生の漫画に「つまらないね」

――とはいえ、若いころからかなり具体的なロードマップを作っていたんですね。そんな高い目標を持って、大学ではどんな生活をしていたのでしょうか。

みんなに嫌われてたと思います。

――どうしてですか⁉︎

トガりまくってたんですよ。同級生の漫画を読んで、「つまらないね」とはっきり言ったり(笑)。

――直接言っちゃうんですか(笑)。

もちろん。しかも、まっすぐ目をみて。好きな音楽を聞いて、「あ、そういうの聴いてるからつまらないんだね」とか(笑)。それで完全に嫌われてしまって。今は若干後悔しています。もう少しみんなと仲よくしておけばよかったなと。

同級生が描いた漫画にまっすぐ目を見て「つまらないね」…それで完全に嫌われてしまって…漫画家・榎屋克優がトガりまくっていた20歳のころ_5

――それは嫌われそうですね(笑)。ちなみに、「そういうの」とはたとえばどんな曲を?

…当時ですよ? スガシカオとか…。流行りのJPOPとかは基本的に斜めに見てました。言い訳するわけじゃないですが、今はスガシカオさんはもちろん、ほかの流行りの曲のよさだってわかります(笑)。

――先生自身はどんな曲を聴いていたのでしょうか。

クロマニョンズとかストーンズとか、ロックが中心ですね。今でも、何か不安なことがあるとストーンズを聞いて自分を奮い立たせてます。

――心の支えだと。

そうですね。音楽つながりで言うと、実は大学では軽音サークルに入らされて、そこでバンドのボーカルもしてました。

――入らされて、ということは自分から入ったわけではない?

はい。出身の神奈川を出て大学のある京都で一人暮らしをはじめて、関西が怖かったんですよね。だからストーンズのグッズで全身を固めて学校に通っていました。Tシャツ、バッグ、帽子、帽子にはバッジもつけて。あとはハイロウズのリストバンドもしてました。

そんな全身武装をしていたらロック好きだってバレて、じゃあ組もうやと言われてズルズルと。全身ロックなのに頭はスポーツ刈りですからね。そのギャップもおもしろがってもらえたんだと思います。

同級生が描いた漫画にまっすぐ目を見て「つまらないね」…それで完全に嫌われてしまって…漫画家・榎屋克優がトガりまくっていた20歳のころ_6
大学入学時までスポーツ刈りだった榎屋氏

――バンドと漫画の二刀流とはなかなか忙しいですね。

音楽にも時間を取られて、音楽と漫画とで、かける時間は半々くらいになりました。