奈良県と橿原市は合同検証チームを立ち上げた

反対に山下被告の否認の主張は揺るいでいないという。仲間たちはそれを信じ、年明けに予定されている初公判を心待ちにしているという。

「翔也が『やっていない』ことが証明される場になるという思いで裁判が始まるのを待っています。それに僕らが今思うのは早く翔也に会いたいってことですね。まだ接見禁止がついていて僕らは会えないので元気かどうかもわかりません。あいつ食い物の好き嫌いも多いし、体調大丈夫なんか?とみんな心配しています」

山下被告と星華ちゃん(知人提供)
山下被告と星華ちゃん(知人提供)

星華ちゃんとAさんは2020年9月、三重県から事件現場となった橿原市のアパートに引っ越してきた。翌10月には虐待を疑う通報が県の児童相談所に相次ぎ、11月に橿原市の要保護児童対策地域協議会が星華ちゃんを「要支援児童」に登録した。山下被告がSNSを通してAさんと知り合ったのはそれから2年以上も後のことで、部屋を行き来するなど交際に発展したのは今年4月になってからだ。この空白期間も含めて、解明されなければならない事実は山のようにある。

現場となったアパート(撮影/集英社オンライン)
現場となったアパート(撮影/集英社オンライン)
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この事件を受けた奈良県と橿原市は合同検証チーム(座長、西田尚造弁護士)を立ち上げ、10月には非公式で初会合を開いて組織の再構築についての意見を求めたという。会合後に西田座長は「市と児相が関わりながら痛ましい事件を防げなかった。二度と起きないためにしっかり検証していく」と語り、検証結果の取りまとめを約束している。

事件から半年。アパート近くに住む20代の女性はこう語った。

「事件の後、母親のAさんが帰ってきてる様子は全くありません。ただ、おそらくまだ引っ越しはされていないかと思います。カーテンが事件後もずっと変わらずひかれたままになっているので。このアパートで事件があったわけですから、帰る気にはなれないのかもしれませんね」

起訴され黙秘を続ける山下被告は友人が証言するとおり本当に“やっていない”のか、それとも…。初公判が待たれる。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

#1〈奈良4歳女児暴行死・十二指腸に穴〉金髪でイキった改造車を乗り回していた容疑者男を溺愛する祖父母は「一睡もできない」と落胆。過去には女児を「怒鳴ったり叩いたりしている」と通報も
#2〈奈良4歳児暴行死の謎〉「胃腸炎でもどすから」とペットシーツが敷かれた部屋でやせ細って亡くなった女児…友人男性が新証言「翔也(容疑者)はかばっているとしか思えない」「虐待の怪我はりんご病と説明された」
#3〈奈良4歳児暴行死の謎〉母親の新証言「うっかり星華の腹部を圧迫してしまったのかもしれません」…容疑者の担当弁護士は「翔也くんは一貫して『身に覚えがない』と話しています」