#1
#2

りんご病の診断書は発行してもらえなかった

取材に応じたのは山下翔也容疑者の刑事弁護人を受任した男性の弁護士(兵庫県弁護士会)。インタビューは9月11日に行った。詳細を余すところなく報じるため、以下に一問一答形式で記述する。

――まず星華ちゃんが亡くなった6月19日の状況について。星華ちゃんの体調が悪化し、山下容疑者の車で搬送した際に、後部座席でAさんが意識を失った星華ちゃんの心臓マッサージをしたと聞いてます。

「そうですね。今朝、検察事務官に電話して、Aさんが9月8日の検事調べでそういう供述をしたと確認しました。その検事調べの前に、私はAさんと電話で話して『6月19日に山下翔也が運転する車で星華を病院に搬送したとき、私が星華の蘇生マッサージをしましたが、パニックになっていたためうっかり星華の腹部を圧迫してしまったのかもしれません。 今日の検事調べで話すつもりです』とおうかがいしました。それを受けてすぐ、検察庁にその旨を検事調べで聞いてもらうように連絡していたのです」

――5月の傷害事件に関しては、山下容疑者は身に覚えがないと否認したあと一貫して黙秘しているわけですよね。

「黙秘ではなくて否認しているというのが正しいと思います。一貫して身に覚えがないと言っています。黙秘ではなく喋ってはいると思います。だから一貫して否認をしているというのが正しいですね」 

星華ちゃん(知人提供)
星華ちゃん(知人提供)
すべての画像を見る

――ほっぺにできたアザは殴った跡ではなくて「りんご病」だったという診断を受けたとAさんも山下容疑者も話していると聞きましたが、診断書は手元にあるんですか。

「それが非常に不可解なのですが、私はAさんに診断書を発行してもらうようにお願いしたのですが、病院が発行してくれなかったとおっしゃるんですよ。理由を聞くと『弁護士に提出するからと発行を依頼したところ、ダメだと断られた』と」

――そういうケースはよくあるのですか?

「少なくとも私は知りません。普通、出してくださいと言えば出してくれます。Aさんとは8月22日にレンタルオフィスで3時間ほどお話をうかがい、その後にすぐ『(診断書は)無理でした』と電話がかかってきました」

――それ以降、Aさんと連絡は取れているのですか。

「先ほどの検事調べの直前、9月8日の午前中の電話で『私が腹部を圧迫したのかもしれません』という衝撃的な証言をいただき、それを検察調べでお話いただくようお願いして了解を得ました。それでその日の夜に電話したら『実は私はもう弁護士さんを頼んだので、今後はそちらを通してください』と言われたので、彼女と話したのはそれが最後です」 

母親のAさんに抱っこされる星華ちゃん(知人提供)
母親のAさんに抱っこされる星華ちゃん(知人提供)

――Aさんが腹部を圧迫したかもしれないとなると、話が全く変わってきませんか。

「おっしゃる通り話が最初から変わってきます。それが本当なら、翔也くんを犯人と決めつけて起訴できるのかということになりますよ。刑事訴訟法では起訴をするためには、疑いを容れない程度まで立証しなければならないので、彼女がそう証言しているのにも関わらず起訴できるのかという問題になってくるかと思います」