4月に補選ラッシュとなれば自民党にとって逆風必至

一連の裏金問題で混沌とした雰囲気が漂う自民党だが、永田町では来年度の予算成立後の岸田首相の退陣論が囁かれ始めている。その背景には、来春に予定されている補欠選挙の日程との関係がある。

来年には細田博之前衆院議長が多臓器不全で死去したことを受けて、島根1区で4月16日告示、28日投開票の日程で補欠選挙が行われる見込みだ。ただし、もし検察の捜査によって裏金問題について立件される議員が出た場合、年内に略式起訴や略式命令によって罰金刑が確定し、議員辞職をせざるを得なくなる可能性がある。
このとき、辞めた議員が選挙区選出だった場合には、その欠員を埋める補欠選挙が来年4月のタイミングに組み込まれ、島根1区の補選と同時に行われる公算が大きいのだ。

岸田首相とともにポーズをとる故・細田博之氏(本人Facebookより)
岸田首相とともにポーズをとる故・細田博之氏(本人Facebookより)
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仮にそうなると、4月補選は裏金問題がテーマになることが必至で、自民党にとっては逆風の選挙となるだろう。
そのため、補選に入る前に岸田政権が退陣し、新しい総理総裁のもとで選挙戦を戦うのでは、との観測がすでに出始めているのだ。

今回の裏金問題については「令和のリクルート事件」と呼ばれることも多いが、リクルート事件の際には竹下登内閣が予算成立後に退陣をしている。
場合によっては岸田内閣もリクルート事件の際と同じ道を歩むことになるかもしれない。

透明とは程遠い政治資金の運用をしていた報いで、ついに司直のメスが入ろうとしている。裏金問題によって、一体どれだけの議員がバッジを外すことになるのか。

永田町にとっては戦々恐々の年末となりそうだ。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班