AIの可能性は私の可能性でもある
――中国はライブコマースが浸透していると言われていますね。
私の知り合いの中国人に、ライブコマース4時間で2000万円売り上げるインフルエンサーがいます。何がすごいかというと、インスタグラムのフォロワー数は30000人程度なのに、インスタライブをしたら700人くらいが最初から最後まで見ているんです。
フォロワーが少なくても、その多くがアクティブユーザーであり、その全員が富裕層。日本でそんなフォロワーを持っているタレントはほとんどいません。
――海外ライブコマースの市場に参入しようということなのですね。
一番メリットになるのが言葉の壁を突破することです。私は中国語は話せませんが、AIなら言語変換ができるので心配もいりません。中国だけでなく世界中に顧客をもつことができます。
――ライブコマース以外にもAIで何か仕掛けようと考えているんですか?
現在、私のAIを作っていますけど、本人の実在しないAIタレントを生成してプロデュースしようと思っています。AIタレント事務所みたいなものを作れたらなと。
今でこそ、Vチューバーはたくさんいますけど、それもキズナアイ(※1)という存在があったからこそじゃないですか。私はそんな先駆者になりたいんです。まだ存在しないAIタレントという分野なら、それが達成できると思っています。
――最初にAI写真集への批判について、「誰もやってないことに最初に手を出せたということだから誇らしい」と言っていたのは、そういう意味だったんですね。
私より実績や実力のある経営者や起業家はたくさんいます。それにレッドオーシャンになれば、大企業の資本力には勝てません。だから現時点でAIに賭けているんです。
AIの可能性は私の可能性でもあるのかもしれないんです。
後編につづく
(※1)Activ8株式会社により制作され、現在はKizuna AI株式会社に所属している、日本のバーチャルYouTuber、音楽アーティスト。人工知能を自称している。バーチャルYouTuber界のパイオニアとされている
取材・文/鯨井隆正
撮影/松木宏祐