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勝手に心を許していたおじさん

一人でご飯を食べることが多い。何年か前までは友達と食事をする機会も多かったが、みんな結婚して減ってしまった。ただただ一人でご飯を食べる日が、年間300日くらいあると思う。

食事をするお店も決まっているけれど、毎日同じところにばかり行っていたら、この人は毎日来ているな! と店員さんに思われそうで恥ずかしいので、数少ない行きつけのお店をローテーションして、連続で行くことを回避するようにしている。

店員さん側は何とも思っていないかもしれないし、もしそうだったら誰に強がっているのかもよくわからないけれど、念のためそうしている。

それでも20年以上一人で暮らしていると、お店を変えることにも疲れてしまい、週に5日、チェーン店のなか卯に行くこともある。

親子丼、和風牛丼、はいからうどん、季節限定の担々うどん、すだちおろしうどん。このあたりのメニューを日替わりで食べていれば、連続して行っても飽きることはない。

仕事を終えて深夜になった時はいつも、50代後半くらいのアルバイトのおじさんが一人でお店の全てを切り盛りしている。

しかもほとんど毎回同じおじさん。

たまに深夜なのに若者が5人くらい入ってきて一気に注文を出されると、おじさんはまさに馬車馬のように働き、全ての注文を一人で処理していく。

そのおじさんにも、おそらく僕は、めちゃくちゃなか卯に来る奴だな! と思われているのだろうと考えながら、この人にだけは毎日来ていると思われてもいい、と勝手に心を許していた。昔、レンタルビデオ店で、レジにいる店員さんが女性ではなくおじさんの時に、アダルトDVDを借りていた感覚に近い。