お腹もふくらんだことだし、あらためて駅前の観光案内板をチェック。なるほど、渡良瀬遊水地の近くなんですね。そして「三県境」がすぐ近くにあるのを発見。ここにあったのか! 田んぼの真ん中に、埼玉県、群馬県、栃木県の境が接しているという胸躍るスポットです。前々から行ってみたいと思っていました。

東武日光線柳生駅を降りたらキムタクコロッケと三県境に出合った_3
もともとは3県の境目は渡良瀬川の上にありましたが、川の流れを移動させたために、田んぼの真ん中になったとか。「三県境」があるのはたいてい山の上や川の中で、平地は全国でここだけ

庭先や畑の脇に咲き誇る菜の花を愛でつつ、たくさん立てられている案内板に導かれて憧れの「三県境」に到着。駅から徒歩10分ぐらいでした。用水路が交差した真ん中に、緯度や経度が書かれたプレートが鎮座。そのまわりを三県が取り囲んでいて、県名の看板が立っています。

東武日光線柳生駅を降りたらキムタクコロッケと三県境に出合った_4

ご夫婦と思しき男女ふたり連れがいらっしゃいました。栃木市から来た結婚34年目のセリザワさんご夫妻で、今日は栃木市内の桜の名所に行ったあとに足を延ばしたとか。「近いんですけどね。これまで機会がなくて初めて来ました」とおふたり。

東武日光線柳生駅を降りたらキムタクコロッケと三県境に出合った_5
高校時代にテニス部で知り合って、そのまま結婚。ふたりのお子さんは独立して、今は夫婦であちこち出かけるのが楽しみだとか。「では、手をつないでいただいていいですか」というリクエストにも、笑って応じてくださいました

次々と、切れ目なく人が訪れます。「ちょっと前にU字工事がテレビで紹介していたから」という方が何組かいました。小学生の娘さんとふたりで群馬県館林市から訪れたイセさんに「このへんで、おいしいものといえば何ですか?」と尋ねたら、地面を指差しつつ「うーん、県によって違いますね。どこの県にしますか」と。イセさん、ナイス! この場所でしか使えない三県境ギャグですね。

ひとりでやってきたオシャレな青年は、埼玉県越谷市のセンダイ君。25歳。今日のメインの目的地は、隣の新古河駅から行ったあたりの渡良瀬川の土手だとか。

「高橋優さんの『HIGH FIVE』という曲のミュージックビデオが、そこで撮影されたんです。誰もいなかったので、僕も歌いながら土手を歩きました」

いわゆる「聖地巡礼」ってやつですね。ニッコリと幸せそうな笑顔で答えてくれて、こちらも幸せな気分になりました。

三県境から見えていた立派な建物が「道の駅かぞわたらせ」。なぜか屋上にハートのオブジェがあって、名前を書いた南京錠が大量に付けられていました。関東で初めて「恋人の聖地」に登録された道の駅だとか。ハートの前のベンチにふたりで並んで、ラブラブな写真が撮れるようになっています。せっかく来たので、ひとりで座って、セルフタイマーで自撮り。横にいた犬を連れていたおねえさんが、そんな様子を見てクスっと笑ってくれました。勇気を出して「よ、よかったらごいっしょに」とお願いしたら撮ってくれたかな。……そんなわけないか。

東武日光線柳生駅を降りたらキムタクコロッケと三県境に出合った_6
ハートのオブジェに付けられたハートの南京錠。「愛鍵」と呼ぶそうです。ふたりでこれを付けているときは、別れる可能性なんてぜんぜん考えないんでしょうね。でも意外に、片方は「まあ、付けたいって言っているから、自分も嬉しそうにしておくか」という半端なテンションの場合もあるかも