軍制服組トップと国防相が立て続けに同じ国を訪問するのは異例

2020年8月には、河野太郎防衛大臣とカイッコネン国防相が、日フィンランド防衛相テレビ会談を実施した。

「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の維持、強化に向けて、防衛協力、交流を強力に推進していくことで一致した。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中にもかかわらず会談が実施されたことからは、防衛協力進展のモメンタムを維持しようという両国の意志が見て取れる。

パンデミックの鎮静化に伴って、防衛首脳による訪問が再び活性化した。

2022年9月には、フィンランド軍制服組トップであるティモ・キヴィネン国防軍司令官(陸軍大将)が、山崎幸二統合幕僚長の招待により日本を公式訪問した。キヴィネン司令官はウクライナ侵略について、ロシアの戦略的なミスであるという認識を示し、結果としてフィンランドがNATOに加盟することになったと語った。

フィンランドの防衛技術が日本の領土を守る!? 75年ぶりに国防武官が在日大使館に着任。防衛軍制服組トップと国防相が立て続けに訪日する異例の事態も…_2

10月には、カイッコネン国防相が訪日して浜田靖一防衛大臣と会談し、ロシアのウクライナ侵略などによって国際社会が厳しい安全保障環境に直面する今こそ、日本やフィンランドをはじめとする国際社会の結束が重要であることを確認した。軍制服組トップと国防相が立て続けに同じ国を訪問するのは異例であり、フィンランドの積極姿勢が際立つ形となった。

なお、訪日後にカイッコネン国防相は、育児休暇を取得すると表明した。マリン内閣の男性閣僚としては、初めての取得例となった。

2023年5月には、小野田紀美防衛大臣政務官がフィンランドを訪問、カイッコネン国防相、プルッキネン国防次官と会談した。

また、ハイブリッド脅威に対抗するため、専門知識とトレーニングを提供することを目的に設立された欧州ハイブリッド脅威対策センター(Hybrid CoE)や、フィンランドの代表的な防衛産業であるパトリア社を訪問している。

パトリア社は、航空宇宙、安全保障分野に強みを持つ老舗メーカーで2021年に創立100周年を迎えた。株式については、フィンランド政府が50.1%、ノルウェーの大手防衛企業が49.9%をそれぞれ保有している。