#1から続く

ありとあらゆる虐待が行われていた

丸山由佳子さん(35歳)が生まれたのは東北地方だった。家と家とが5、6軒ごとに集落になっているようなところで、周りには田園がひろがっていた。

そんな静かな村の民家で人知れず起きていたのは、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(養育放棄)、心理的虐待といった、児童虐待防止法に規定されているすべての虐待だった。

「母親がめちゃくちゃ怒鳴りまくる人で、手も足も出て、投げ飛ばされて、ここ、ガラス片が刺さったんです。窓を突き破って。病院に連れて行ってもらったことなんかないから、自分で接着剤をつかって塞いだんです」

そう言って、彼女がシャツの袖をめくって見せてくれたのは、たしかに自然と傷口が塞がった痕だった。

「気づいたら高層マンションの最上階の外階段に立っていて…」知らない間に自傷する人たちに共通する“幼少期のある経験”_1
すべての画像を見る

彼女には歳の離れた兄と姉がいたが、このふたりも母親には逆らえなかった。兄は母親から猫可愛がりされていた。姉は母親からあまり好かれていなかった。その姉のストレスは、自然と年少者の彼女に向いた。

力の差では、幼い彼女が歳上の姉に敵うはずがなかった。乱暴する姉に向かって母親は、もっと彼女を殴るように囃し立てた。一方、かわいがられていたとは言っても母親に怯えるという点では兄のストレスも多く、彼には抜毛症(ストレスで頭髪や眉毛など自分の毛を抜いてしまうこと)や皮むしり行為があった。彼の指先は、いつも血だらけだった。

父親は、あまり家に帰ってこなかった。