叱られたら、「ラッキー!」なのです

最近は仕事場で上司に叱られると、すぐ落ち込んでしまう人もいるようですね。叱った人を恨んだり、叱られた翌日から出社拒否になってしまう人もいると聞きました。でもそれは、大きな間違い、発想の転換が必要です。

怒られる、叱られる、注意されるということは、ひとつ勉強するチャンスを与えられたということです。自分が間違えていた点、至らなかった点を指摘してもらえるのですから、知識、経験という財産を増やしたことになります。こんなに喜ばしいことはありません。しかも、本来なら授業料を払わなければいけないのに、注意してもらったうえに、お給料までいただけるのです。得した! ラッキー!! と、思わなければ。

怒られたり叱られたり、人の一生は、そんなことの連続です。初めてのときには、ものがわからなくて当たり前なのです。誰だって最初からうまくはいきません。みんな、生まれて初めて幼稚園に行き、生まれて初めて小学生になり、中学生になり、高校生になるのも大学生になるのも、社会人になるのも初めて。先生や先輩たちに怒られたり叱られたりしながら仕事を覚え、ひとつひとつ学んでいくのが、生きていくということ。いちいち落ち込んでいたら、前に進めません。

いくつになっても〝初めて〟は続きます。

人間は生まれてから死ぬまで、ずうっと〝初めて〟の連続です。人はみな初めて親になり、初めて中年になり、老人になるのです。そのとき、自分はすべてを知っていると勘違いをして、学ぶことを忘れてしまった人間が、ずうずうしい生き物になります。世の中をなめ、謙虚さを失い、ふてぶてしくなることから、老化が始まるのです。

今日という日も、今までの人生で経験したことのない、初めての日。そう思えば、毎日をわくわくしながら、楽しんでいけます。


写真/御堂義乘

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お給料はガマン料と心得ましょう 今こそ読みたい美輪明宏の言葉 #2_a

『乙女の教室』(集英社文庫)
2022年5月20日
737円
文庫 272ページ
ISBN:978-4-08-744386-8

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