クエンティン・タランティーノ監督の第2作目
昔の作品でも見たことがなければ新作映画!
一周まわって新しく映った作品の数々をピックアップする「桂枝之進のクラシック映画噺」、今回は8月11日より全国36館で期間限定のリバイバル上映されている『パルプ・フィクション』(1994)をご紹介。
レストランで朝食をとりながら恋人のハニー・バニー(アマンダ・プラマー)に強盗の話を持ちかけるパンプキン(ティム・ロス)。
その場で銃を取り出し店内の客を脅し始める。
場面は変わり、とある車内。
ギャングのヴィンセント(ジョン・トラヴォルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)はボスのトランクを盗んだ裏切り者の始末に向かっていた。
そこでボスの妻・ミア(ユマ・サーマン)の世話をするように頼まれたヴィンセントは、ミアと共にレストランへ出かけることに。
さらに場面は変わり、ボクサーのブッチ(ブルース・ウィリス)はギャングのボス、マーセルス(ヴィング・レイムス)に八百長を持ちかけられる。
ところが試合が始まると、ブッチは相手のボクサーを殴り倒してしまう。
強盗を企てるカップル、2人組のギャング、八百長を持ちかけられたボクサー、大きく3つのエピソードが描かれているが、それぞれ異なる時間軸で交差するため、初見では物語の順序を理解するのに苦しむ。ところが後半に差しかかると点と点が線で繋がるため、2時間半の長さを感じさせない作品だ。
エピソードをバラバラに描いて再構成するプロットのスタイルは、作品を俯瞰的に見ることを余儀なくされるため、登場人物の非道な行動よりも、無駄口を叩く会話劇やごくごく普通の生活に意識が向けられる。
暴力やドラッグに対して鈍感になることで、一気に作品の現実味が増していくからおもしろい。
まるで伊坂幸太郎の小説みたいだな、と思った。