デニーロ×スコセッシの最強タッグ作
昔の作品でも見たことがなければ新作映画!
一周まわって新しく映った作品の数々をピックアップする「桂枝之進のクラシック映画噺」、今回は『キング・オブ・コメディ』(1982)をご紹介。
『タクシードライバー』(1976)や『ニューヨーク・ニューヨーク』(1977)などに続く、マーティン・スコセッシ監督と俳優ロバート・デ・ニーロのタッグ作だ。
主人公は、有名TVスター、ジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)の追っかけをするうちに誇大妄想を膨らませ、自分もスターの仲間入りができると思い込んだ“自称”コメディアンのルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)。
陽の当たらない人間の精神性をあぶり出す作風として、本作のルパート・パプキンは『タクシードライバー』のトラヴィス・ビックルと比較して語られることが多い。
一見陽気なテンションのキャラクターとして描かれるパプキンだが、空想と現実が入り混じるその性格の裏側には、救いがたい闇が見え隠れする。
『キング・オブ・コメディ』という痛快なタイトルと内容との乖離から、公開時の興行成績は芳しくなかった。しかしマイナーな傑作として、現在に至るまで業界内での評価は非常に高く、2019年に公開された『ジョーカー』に多大な影響を与え、本作へのオマージュが数多く見受けられるほどだ。