実習もなくなり、スクールも満員で“プール難民”となる子どもたち

それにしてもなぜ今、公営プールに親子連れが押し寄せているのか。背景にあるのは小中学校のプール授業の減少だ。新型コロナの流行、プール維持費の高騰などもあって、このところ体育でのプール実習をとりやめる学校が相次いでいる。

学習指導要綱では水泳授業はプール実習なしの座学でも可となっており、水難事故を防ぐライフテクニックとしての水泳術を教室内でのスライド解説などですませてしまう小中学校も少なくない。コロナ禍以降、学校現場では泳ぎが得意でない“かなづちっ子”が増え続けているのだ。

写真はイメージです
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とはいえ、夏になると毎年、水遊びによる死亡事故のニュースが後を絶たない。そのため、万一の水難事故に備えて最低限の水泳技術だけは体得してほしいと、公営プールにやってくる親子連れの姿が目立つようになったというわけだ。

東京都豊島区在住の40代保護者が言う。

「小学校のプール授業は夏休みに4回あるだけで、これでは子どもは泳げるようにはならない。ですが、同じことを考える親が多いらしく、民間のスイミングスクールはいつも満員。半年から1年待たないと空きが出ない状態です。そこで公営プールなら大丈夫だろうと、区内のプールに親子3人で行きました」

そのプールは6レーンあり、第5、6レーンが上級者向け、第3、4レーンが中級者向け、第2レーンがゆっくり泳ぐ人向け、そして第1レーンが高齢者と子ども用に区分されていたという。

水深を浅くするプールフロア
水深を浅くするプールフロア

「第1レーンのプール内には水深を浅くする赤いプールフロアが設置されており、これなら安心、とバタ足練習を始めたんです。ところが、その途端にウォーキング中の高齢者からクレームをつけられてしまって……。監視員からも『これ以上クレームが入れば、出入り禁止にします』ときつく叱られました。でも、学校でもプールの授業がなく、民間のスイミングスクールにも満員で入れない。だったらどこで子どもに水泳を教えればいいんですか? 我が家は“プール難民”ですよ」