「配偶者は親友?」への答えは文化で異なる

とはいえ、詳細についてはさまざまに異なる。フロリダ州ジャクソンビルで行われた調査では、60%の人びとが、配偶者は親友だと答えた。メキシコシティでは、何人が同じ答えをしただろうか? ゼロだ。

また、ロマンチックなキスをする文化はじつは少数派で、被験者168人中、46%に過ぎなかった。さらに、愛は必ずしも心臓と結びつけられるものでもない。西アフリカでは、愛と言えば鼻であり、ニューギニア島東部沖にあるトロブリアンド諸島では腸である(こうなると、くしゃみや消化不良は何を意味するのか、真剣な再解釈を要する)。

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長期的な愛の形の大半は結婚であり、それにより私たちが戦うべき神話のラスボスに行きつく。結婚すれば、より健康でより幸福になれる、という記事は世の中に溢れているが、それは違う。そうした報告の多くは、単に既婚者と独身者の幸福度を調査して比較し、既婚者のほうが高いことを見いだし、「ほらね、結婚すると健康で幸せになれる」と得意げに言っているにすぎない。

しかし、それでは「生存者バイアス」と呼ばれる間違いを犯している。もし「結婚するこ と」が人を幸せにするかどうかを調べたいのなら、別居者、離婚者、死別者を、独身者ではな く、現既婚者と一緒にするべきだ。そうしなければ、大ヒット映画のスターばかりを調査して、

「俳優になることは、明らかに素晴らしい職業選択である」と言うようなものだ。

バージンロードを歩いたことのある人、ない人を調べると、健康度や幸福度はさまざまに異なる。簡単に言えば、結婚すれば健康で幸福になれるわけではなく、良い結婚をすれば健康で幸せになれるのだ。かたや悪い結婚は、たとえ過去のものであっても、とても(あるいは、とてもとてもとても)悪影響を及ぼす。