仕事に出る前、自宅に必ず「遺言書メモ」を置いていく
ツアーナースの仕事に出る前、自宅に必ずあるメモ書きを置いていきます。万が一旅の途中で何かあった時、残された人が迷わないようにするための遺言書のようなメモです。
「保険証はこの場所にあるよとか、旅に出て楽しんだのから私は幸せだったよ、とか。伝えておきたいことを紙に書いて残していきます。ツアーナースになる前の看護師時代、海外旅行によく出掛けていた頃からやっているので、その習慣が続いているのかもしれません。部屋もある程度綺麗にしておきますね。何かあって、もし部屋に誰かが入った時に汚いと嫌な気分じゃないですか」
そうするようになったのは、前職で経験した看取りの現場がきっかけでした。(看取りについては、後半で話を聞きます)。人生はいつ終わるか分からない、残された人に大変な思いをしてほしくないという思いが込められています。
『漫画家しながらツアーナースしています。』は、病気や不調と付き合う子どもたちがどんなふうに旅先で過ごし向き合っているかを知る貴重なコミックエッセイです。さまざまな病気やその対処法が出てきますが、医師が監修しているので、正しい情報としても参考になります。明さんが丁寧に子どもたちに寄り添う様子には、親としても学ぶべきところが多いと感じました。
後半では、明さんがどんな幼少期を過ごして看護師を目指すようになったのか、ツアーナースになる前の病院での看取りの現場から感じたこと、考え直したことについて聞きます。
明さんの年表
0歳 沖縄で生まれる
18歳 大学の医学部に入学、看護科に進む
22歳 大学を卒業。看護師として東京の病院に就職する
25歳 ホームページや漫画投稿サイトで、漫画の執筆を始める
28歳 病院勤務の傍らツアーナースの仕事を始める
30歳 病院を退職、ツアーナース業に専念する
2015年 『リヒト 光の魔術師』(小学館クリエイティブ)を出版
2019年 『漫画家しながらツアーナースしています。 1』(集英社)を出版
2020年 『漫画家しながらツアーナースしています。こどもの病気別“役立ち”セレクション』(集英社)を出版
2021年 『漫画家しながらツアーナースしています。 現役ナース・先生・ママの“推し”セレクション』(集英社)を出版
2022年 『いのちの教室 あなたの最期が私に教えてくれたこと』(集英社)を出版
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子