ブラジル人よりも注意したいのが…
日系人の犯罪者全体の中では、圧倒的にブラジル人が多い。だが、ペルーなど少数派の人たちの方が「何が何でも稼ぐ」という気持ちで来日していることが多いため、道を外れる率、あるいは初めから悪事を働く目的で日本にきている率は高いそうだ。
「日系人でガキの時から日本にいる人間は、ずっと日本に住むつもりなので、いつかどこかで足を洗おうと考えている。みんなこっちで日本人の女と結婚しているしね。
けど、中年くらいで日本に来ていてワルをやっている人たちは、母国にネットワークがあるので、適当に稼いで帰ろうとか、逮捕されたら帰ろうと思っている人が多いと思う。それぞれの立場によって、日本でどう過ごすかが違うんだ」
日本では多文化共生の大切さが説かれて久しい。今後、日本に暮らす日系人はより増えていくだろう。こうしたギャングが生まれる背景には、日本の受け入れ制度や環境が未整備であることがある。そこを改善しない限り、カルロスのような人間は生まれるし、日本人の在日日系人に対する偏見もなくならない。
悪いことをした人間を逮捕し、強制送還したところで、もぐら叩きのような対症療法にしかならない。この多文化共生の時代に必要なのは、どうすれば在日外国人が非行に走らずに済むのかを考え、国として、社会として実行することなのである。
取材・文/石井光太