『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』を払拭する!

「一生見つからない人もいるかもしれない。それが“自分の居場所を探している”ということ」米倉涼子が国際霊柩送還士を演じて直面した現実_5

──米倉涼子さんといえば、『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』という大ヒットドラマがあるので、今回もスカッとしたヒロインかと思ったら、多くの葛藤を抱えている姿に驚きました。弱さも見せていくキャラクターですが、どのように考えて取り組んだのでしょうか。

今回演じる役は医者ではありませんが、ご遺体を修復する作業をする際、手術着のようなユニフォームを着て、マスクもして、ドクターのようなスタイルになります。

「『ドクターX』を連想してしまう視聴者の方もいるかな」と思い、マスクの選び方や髪型など、大門未知子に似ないように気をつけました。でも演じているのは同じ人間だし、利き腕は右だし、発する声も一緒なので、そこはどうしようもない。ただ、演じる上でいちばん心に留めたのは、実在する木村利惠さんがモデルであるということです。

何事も100%全力で臨む利惠さんの意思、行動力など、全てを役に注ぎ込むことに力を入れました。綺麗に見せようとか、カッコつけようとかいう思いは全然なし! 必死になって仕事に邁進する強さを表現したいと思いました。素顔の利惠さんは、ものすごく面倒見がよく優しい方なので、そんな一面も含めて演じることに専念し、『ドクターX』を払拭しようと思いました。

「一生見つからない人もいるかもしれない。それが“自分の居場所を探している”ということ」米倉涼子が国際霊柩送還士を演じて直面した現実_6
国際霊柩送還士が働くエンジェルハースの面々。左から新入社員の高木凛子(松本穂香)、マニアックな遺体処置のスペシャリスト柊秀介(城田優)、主人公の伊沢那美(米倉涼子)、ヤクザ気質で強面の会長・柏木史郎(遠藤憲一)、元ヤンの若手社員・矢野雄也(矢本悠馬)、噂好きな手続担当・松山みのり(野呂佳代) 
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──『ドクターX』に出演されている遠藤憲一さんとは、今回のドラマでも共演されています。関係性が違っても、おふたりの相性がよくていいですね。

偉そうに言うつもりはありませんが、改めて素晴らしい役者さんだなと思いました。第一話でお互いを叩きあうシーンがあるのですが、台本にはなく、エンケンさんと私のノリからできあがったシーンです(笑)。

そういうアドリブ的なことも遠慮なくできるので、エンケンさんとの共演はとても楽しい。ムードメイカーとして現場を温めてくれました。

──完成したドラマをご覧になった感想を教えてください。

私はまだ音楽がついていない状態で見たのですが、全然気にならずに没頭できましたし、ドラマを見ながら泣きました……。これは世界に向けて作られた作品だと感じましたね。

私自身は世界を意識して演じていたわけではないけれど、インターナショナルなドラマとして通用すると思いましたから。ぜひこのドラマを通して国際霊柩送還士という仕事を世界中の方々に知っていただきたいと願っています。


取材・文/斎藤香 撮影/石田壮一 ヘア&メイク/奥原清一(suzukioffice) スタイリスト/大沼こずえ

米倉涼子(よねくら・りょうこ)
1975年8月1日生まれ。神奈川県出身。数々のドラマ、映画、舞台で活躍。松本清張原作小説のドラマ『黒革の手帖』(2004)『けものみち』(2006)『わるいやつら』(2007/いずれもテレビ朝日)で悪女役を演じ分けて高評価。ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日)は高視聴率を記録し、人気シリーズとなっている。またブロードウェイミュージカル『CHICAGO』(2008)の日本版でミュージカルデビュー。この舞台も当たり役となり2012年同作の主演としてブロードウェイデビューを果たした。

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海外で亡くなった日本人や、日本で亡くなった外国人の遺体を母国へ搬送する国際霊柩送還士・伊沢那美(米倉涼子)。口が悪く、負けん気が強い伊沢はエンジェルハース社の名物社長だ。そんな彼女が社員たちと共に、さまざまな国際情勢や遺族とのトラブルに巻き込まれながらも、遺体を搬送し、きれいに修復して遺族のもとに届ける仕事に情熱を注ぐ姿を描く。

2023年3月17日より、Amazon Prime Videoより配信スタート
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