トレーニングで自分に自信「推しの目を見て話せました」
また、SAKUさん自身がパーソナルジムで13キロの減量に成功し、体力をつけた経験も大きい。
「ジム自体はすごくいいものだったのですが、トレーナーさんと話しづらかったんです。鍛えるためには運動と食事がセットなので、食事報告が必須です。
オタ活の中で、(アニメなどとの)コラボカフェに足を運んだりもするのですが、言い出せなくて普通のカフェを装って写真を送ったりして。コスプレで男装するために腹筋を割りたいこともなかなか言い出しにくかったです。
話も合わなくて雑談もできない。そこで、他のオタク友達に、オタク女子に優しいジムってどうかな?と投げかけてみたら、需要があるんじゃないかって声がいくつも聞けたんです」
トレーナーの採用にもこだわりがある。
「まずはオタク女性の心に寄り添える方が第一条件です。もちろんパーソナルトレーナーとしてのスキルがある上で、話を聞く姿勢が大事だと考えています。
オタクはけっこうみんなしゃべりたがるんです。ここだからこそ安心して話してもらいたい。トレーナー自身が好きなものがあることも重要ですが、話をいかに聞けるかを面接や実技テストで見極めています」
トレーナーは現在男女14人。今後も増やしていく予定だ。
ホームページの紹介一覧には、得意なトレーニング以外に各々の好きな作品や推しについて明記されている。
好きなトレーナーの予約が取れるため、いろんなオタクと話したくてトレーナーを順に変えていく客もいるという。
「セッション自体は1回75分。トレーニングやカウンセリング中に、オフ会のようにお互いの好きなアニメやおすすめの話をして布教し合う。自分の興味のなかったジャンルを教えてもらえて楽しい、と言ってくださるお客さんもいます。
また、うちに通って16キロ体重を落とされた方が、自分に自信を持てるようになって『推しのお渡し会に行ったときに推しの目を見て話せました』と言ってくれました。ジムをつくってよかったと思えた瞬間でした」
体が変わると心も前向きになっていく。そして、ジムで鍛えながら新たな開拓もできるという、オタクにとって絶好の環境だ。