『タイタニック』の製作はトラブル続きだった!?

莫大な製作費、ケガ人続出の撮影、監督のブチギレ、やる気のなかったディカプリオ…『タイタニック』は前評判最悪の沈没寸前映画だった!?_1
「ロードショー」1998年2月号のとじ込み特集「Making of TITANIC」では、スケールの大きすぎる撮影秘話がたっぷり掲載されていた
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『タイタニック』(1997)の製作が本格的に動き出したのは、公開の1年半前に遡る1996年5月。完璧を求めるジェームズ・キャメロン監督の構想を実現するため、メキシコに巨大なスタジオを建設することに。「ロードショー」1997年5月号の撮影現場ルポや1998年2月号のメイキング記事には、フットボール・スタジアム3つ分にもなる巨大な水槽タンクを、50トンものダイナマイトを使って作るなど、いろいろと規模がデカすぎて想像すらできない情報が満載だ。

本物を1割ほど小さくした全長770フィート(約225メートル)のレプリカを作り、本作の一番の主役であるタイタニック号そのものにこだわったという。

ところが、レプリカを使ったクライマックスの沈没シーンの撮影では、スタントマンたちが相次いで負傷。さらに数百人のエキストラが参加する中、スタッフやキャストに対してキャメロン監督がかんしゃくを起こしたり、ケータリング・サービスの食事で50人以上が食中毒になったりと、次々トラブルが勃発。それらがマスコミに報道されたことで、前評判は最悪だったという。

さらに撮影の遅れから、予定していた1997年7月5日公開に間に合わず、12月19日に延期が決定。製作会社20世紀フォックスの予想通り、当初の製作費を大幅にオーバーし、様々な経費を回収するためには、全世界で4億ドルを稼がねばならない計算に。

撮影中、何度もプロデューサーから予算を切り詰めるようプレッシャーをかけられたキャメロン監督は、ついに「私のギャラを使ってくれ」とまで言い出したとか。

脚本に対する数百万ドルの報酬を受け取っていたとはいえ、監督としてのギャラと、利益の配当分に当たる数千万ドルもの報酬を放棄するということは、完成してもほとんどただ働きのような状態。しかし、空前の大ヒットで記録を次々と塗り替えたことにより、フォックスから特別ボーナスが贈られたという。

作品自体も、蓋を開けてみれば全世界興行収入22億ドル超えの大ヒット。結果的に楽々と経費は回収できたものの、当初はとんでもないリスクを負った作品だったのだ。