サッカーの得点の3割は、セットプレーから

【W杯展望】攻守に鍵を握るセットプレー。森保ジャパンは懸案の“一発病”を克服できるか_1
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両チームに点が入りそうもない白熱の投手戦。そんな試合を実況中継する解説者は、たいていこんな言葉を口にする。

「怖いのは一発ですね」

一発とは、すなわちホームラン。ホームランであれば、ランナーの有無とは無関係に一振りで得点できる。だから、一発が怖いのだ。

これからサッカーの話をしようというのに、いきなり野球のたとえ話で恐縮だが、そもそもロースコア決着が多いサッカーの試合は、なかなか点が入らない野球の投手戦に似ている。

と同時に、サッカーにおいてもまた、野球と同様に一発の怖さをはらむプレーは存在する。それが、コーナーキック(CK)やフリーキック(FK)。いわゆるセットプレーだ。

どんなに攻勢に試合を進めていても、相手に守備を固められてしまえば、得点するのは難しい。だが、そんなときでも敵陣で得たセットプレーを生かすことができれば、得点の可能性は確実に高まる。事実、サッカーにおける全得点の3割は、セットプレーから生まれると言われているほどだ。

劣勢だったチームが1本のセットプレーを生かして得点し、勝利に結びつける。あるいは、強豪チームが格下のチーム相手に守備を固められて苦しむなか、セットプレーを生かした得点で勝利を呼び込む。1点の価値が重いサッカーでは、そうした試合が珍しくない。

要するに、セットプレーは勝負を決める非常に重要な武器なのである。

ところが、最近の日本代表は、攻守両面でセットプレーを苦手としている。セットプレーからの得点が少ない一方で、逆に失点は多く、“一発に泣く”ケースが少なくない。