4月17日、「KKT杯バンテリンレディスオープン」は6ホール、120分に及ぶ歴史的なプレーオフを制して、植竹希望が黄金世代10人目のツアー初優勝を果たした。
植竹は2017年度、プロテストに合格している。1998年度生まれの「黄金世代」だから、高校卒業して最初のテストに一発合格したということである。勝みなみ、小祝さくらなど、他の黄金世代の多くもこの年のテストをクリアしている同期だ。ただし、植竹の場合はプロとしてスタートラインに立ってから、なかなか芽が出なかった。コロナ禍で試合がなかった時期は、レッスンやキャディのアルバイトをしていたという苦労人が、ついにツアー初優勝をつかみ取った。
その1週間後の4月24日、今度は「40thフジサンケイレディスクラシック」で、やはり黄金世代の高橋彩華が11人目の初優勝を飾った。世代別の優勝人数でいうと、これまで1987年度生まれの10人と並んでいたのだが、この高橋の優勝によって記録更新、黄金世代がツアー史上最多となった。
高橋はコロナ禍で変則開催となった2020~2021年シーズンは50試合に出場し、21試合でTOP10に入る好成績を残していた。ツアー初優勝まであと一歩のところにいたのである。
もともと高橋は2016年の日本女子アマ選手権チャンピオンで、プロとしての将来を嘱望されていた。ちなみに、黄金世代と呼ばれる同級生プロの中で、日本女子アマ選手権に勝ったのは、高橋の他には勝しかいない。しかし、1回目のプロテスト(2017年度)には不合格、2回目の挑戦で合格した。黄金世代では原英莉花、渋野日向子らとプロテスト同期生だ。
やっぱり黄金世代は強いな〜と思っていたら、今度は海外から畑岡奈紗のアメリカ女子ツアー6勝目のニュースが飛び込んできた。日本時間4月25日、カリフォルニア州で開かれた「DIOインプラントLAオープン」で、畑岡は2位に5打差をつける独走優勝を飾ったのだ。アメリカ女子ツアーでは前週、ハワイの「ロッテ選手権」でも渋野が2打差の2位に食い込んでいる。まさに、やっぱり黄金世代は強いな~である。
畑岡は日本のプロテストは受験していないので、プロテスト同期生はいない。17歳だった2016年に「日本女子オープン」にアマチュアで優勝し、その後、プロ転向宣言して、キャリアをスタートしている。

最多11人目のツアー優勝で勢い止まらぬ女子ゴルフ「黄金世代」。渋野日向子や勝みなみらの“伝説”をプレイバック!
1998年度生まれの女子プロゴルファーを「黄金世代」と呼ぶが、その黄金世代の選手たちの躍進が止まらない。毎週トーナメントが開催されるたびに、その活躍ぶりを伝えるニュースが目白押しだ。黄金世代の勃興をお伝えしよう。(画像/Kyodo News)

悲願の初優勝を遂げ、黄金世代11人目の優勝経験者となった高橋彩華
国内外から飛び込む快挙の報せ
契機は勝みなみの勝利
そもそも「黄金世代」とは何なのか。冒頭に記したとおり「1998年度生まれの女子プロゴルファー」である。ではその歴史はどこからスタートしたのか。それは2014年、高校1年のアマチュアだった勝みなみが「バンテリンレディスオープン」で史上最年少優勝をしたのが契機となった。
勝は翌2015年の日本女子アマ選手権のタイトルを獲得しているが、切磋琢磨した同世代の選手たちは「勝みなみさんができるなら私も……」と考えたことは想像に難くない。当然、そのモチベーションアップは、同世代ゴルファーのレベルもアップさせる。
そうした中、2016年に畑岡奈紗が17歳で「日本女子オープン」にアマチュア優勝してプロ転向。さらに翌2017年には黄金世代たちが高校を卒業して、プロテストに挑み始め、続々とプロデビューを果たす。
黄金世代の中で、プロとして最初にツアー優勝したのは畑岡で、2017年9月に「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」を制した。翌18年には、4月に新垣比菜が「サイバーエージェントレディース」で、8月には、大里桃子が2回目のプロテスト合格後、最初のツアー競技「CATレディス」に優勝した。
そして始まるシブ子のストーリー
2019年になると、いよいよ渋野日向子のシンデレラストーリーが始まる。2018年、2度目のプロテストで合格した渋野は2019年ツアー前半戦の出場権を得た。期限の限られた権利だったが、5月に公式戦「ワールドレディスサロンパス杯」で初優勝。6月時点で女子ツアー賞金ランキング3位となり、8月のアメリカ女子ツアーのメジャー大会「AIG全英女子オープン」の出場権を獲得した。
ここまででも相当なシンデレラストーリーだが、初の海外遠征直前の7月、新設された大会「資生堂女子オープン」にもプレーオフの末に勝つ。そして仕上げというのか、ダメ押しというのか、本番というのか、「AIG全英女子オープン」にも優勝してしまうのだ。初めて出場した海外ツアー、しかもメジャー大会のチャンピオンである。にこやかに戦い、そして勝つ渋野はスマイルシンデレラと呼ばれ、その人気は日本のみならず、世界のゴルフファンに波及していった。

2019年12月、「AIG全英女子オープン」で勝利した渋野日向子
2019年、黄金世代はいよいよ勢いを増していく。渋野のブレイク直前の3月、河本結が「アクサレディス」で初優勝。その後、原英莉花は「リゾートトラストレディス」、小祝さくらは「サマンサタバサレディス」、淺井咲希が「CATレディス」と9人の黄金世代がツアー優勝を果たした。
2020年以降も黄金世代の活躍は続き、彼女たちの優勝回数はなんと、41!(アマチュア時代、海外・国内すべて合算。2022年4月25日現在)
そして、すでに優勝経験のある11人以外にも、初優勝が期待されている黄金世代は、6月の「全米女子オープン」日本予選を突破した高木優奈やシード選手の臼井麗香、山路晶などまだまだいる。今年は女子ツアーから目が離せない。
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