凍結した卵子1個の出生率は4.5~12%。
それでも想定の3倍以上の応募が殺到

「今年も今のところ結婚願望なし、卵子凍結済みで生活してます」
「大人、楽しんでます!」

11月21日にX(旧Twitter)でそう告白したのは、この日31歳の誕生日を迎えた指原莉乃さん。インターネット上では「女性の選択肢として広まってほしい」といった好意的な意見から、「卵子凍結したから大丈夫、と思わないでほしい」という慎重な声まで上がり、大きな話題となった。

指原莉乃さんは31歳の誕生日に卵子凍結したことをXで発表

卵子凍結とは卵巣から取り出した卵子を凍結保存して、実際に妊娠を望む時期に解凍し、精子と体外受精させるものだ。

折しも東京都は今年度、18~39歳の都内在住女性の卵子凍結に、最大30万円を助成する事業を始めた。11月28日時点で5825人が説明会に申し込み、そのうち1002人が事業に参加するために必要な申請を行った。東京都は2023年度の利用者を200~300人程度と想定していたということで、その数はすでに3倍以上となっている。

筆者もその1002人のうちの1人だ。東京都の助成金を活用しても費用面のハードルは依然高い。病院にもよるが、基本的に採卵に15~50万円、凍結は卵子1個あたり1~5万円、さらに、保管するのにも凍結保存容器1本(卵子2個もしくは3個保存可)あたり年間で2~3万円、体外受精時にも費用が発生し、最終的な負担は最後までわからない。

しかも凍結した卵子1個あたりの出生率は4.5~12%ほどとされ、必ず妊娠できるものでないことも考慮しなくてはならない。

助成金を受けても100万円近い負担。とはいえ、払えないほどの金額ではない。採卵する卵子を複数育てるための「自己注射」は繰り返すことで体調への影響もあるが、筆者は今は在宅勤務が中心。2週間程度で採卵まで終わるなら予定を調整しやすいという状況も、背中を後押しした。何より、数年後に「あのときチャンスがあったのだから、卵子を凍結しておけば」と悔やむことは避けたく、卵子凍結に踏み切ることにした。