〈四谷大塚〉森容疑者が「先輩講師がロリコン気質を持っており女子生徒を狙っていたんです」と“疑惑”をSNSで同志に暴露。「(生徒に)胸を服でガードされた」とLINEしていた先輩講師の問題行動とは
中学受験進学塾「四谷大塚」の校舎で教え子の女児の下着を盗撮したり、卑猥な文言を無理やり言わせたなどとして警視庁が元講師の森崇翔容疑者(24)=東京都日野市=を逮捕した事件に絡み、同塾に森容疑者と女児の情報を共有し合うロリコン仲間の講師がいる可能性が浮上した。集英社オンラインの調査報道がきっかけで、塾講師という立場を悪用した卑劣な「教育者」が拘束され、保護者も安堵の表情を浮かべたものの、深まる闇に関係者はさらなる対応を迫られそうだ。
「二度とこのようなことが起きないように厳罰を望んでいます」
警視庁少年育成課が8月19日、森容疑者を逮捕した容疑は、下着が露わになった女児を盗撮した東京都迷惑防止条例違反(盗撮)と、女児に「勉強しないとお仕置きでお尻ぺんぺんされます」などと言わせた強要の疑い。同課の調べに対し森容疑者は容疑をおおむね認めているものの、「脅すつもりはなく身体的危害を加えるつもりはなかった」と強要の犯意を否認している。

記者の直撃取材に応える森容疑者(撮影/集英社オンライン)
いっぽうで森容疑者は、塾の校舎内で女児にお説教をする際に床に座らせて太ももや下着を見える状態にして「7月まで頑張らないとお仕置きをされます。裸でお尻ペンペンです」と言わせた、太ももや下着が見える姿をスマホで盗撮した、動画をSNSのグループチャットに投稿した——ことなどを間違いないと認めたうえ、「一番の目的は自分が動画を見て楽しみ、性的欲求を満たすためで、投稿するつもりはなかった」と供述しているという。
森容疑者の逮捕を受け、ある被害児童の母親はこう話した。
「捜査の過程で警察と連絡を取り合っていたこともあり、森講師逮捕に関しては警察の方から聞いておりましたし、その後に報道でも確認し、ひと安心しています。しかし、森容疑者がどのような処罰を受けるのかは今後の問題ですし、私たち保護者は二度とこのようなことがほかの子供たちにもおきないように厳罰を望んでいます」
母親は捜査の過程で、森容疑者が管理していたSNSグループに投稿されていた動画やメッセージのやり取りを確認し、怒りを新たにしたという。
「大の大人が子どもをまるでモノとかおもちゃのように扱うのを見て、激しい怒りを覚えています。四谷大塚側は『被害に遭われた方たちのケアを最優先に考えている』とのことでした。具体的な再発防止策は、カメラの設置や講師がスマホなどの撮影機器を教室に持ち込まないことなどに加え、生徒の個人情報は今後は校舎長のみが閲覧できるように改善すると言っていました」(前出)

森容疑者のグループSNSでは女児の個人情報とともに、卑猥な言葉が日常的に並んでいた(知人提供)
四谷大塚は今回の問題を受けてまだ保護者会を開いていないが、その理由については「保護者が一度に集まると噂レベルの話まで伝わり、被害児童の特定や子どもたちを傷つけてしまう危険性もある」と保護者等に説明しているという。
保護者の不安は消えない
しかし別の母親は、それだけでは割り切れない複雑な心情を吐露した。
「受験を控えた6年生がいるので、閉校にできないという事情もわかるのですが、私たちも娘にどう説明すべきかも含め、受験自体をやめようかということも考えざるを得ません。受験を続けるために塾を変えるにしても、その塾がはたして安全なのかどうかもわからない。夏休みが明けて学校が始まれば、友だちから四谷大塚○○校に通っていたという目でも見られるでしょうし……」
保護者たちは不安を払しょくできずにいるが、実は森容疑者は逮捕前、「キッド」のハンドルネームで主宰していたSNSのメンバーに、四谷大塚の同僚講師に「同好の士」がいることを伝えていた。取材班が新たに入手したグループチャットで、キッドは
<すごいことが発覚しました。先輩講師がロリコン気質を持っており、Dさんを狙っていたんです。昨晩、泊まりにいった際に、お互いに暴露しました>と報告。
さらに「証拠」として、その先輩がDさんの盗撮に失敗した様子を自分に伝えてきたLINEのやり取りをアップしていた。

森容疑者の先輩講師もロリコン気質を持っていた、と暴露するLINEのやりとり
森容疑者は「集英社オンライン」の直撃取材の際、盗撮について「(チャット内で)そういう話もしてましたけど、あくまで私がしていただけ」と同僚の事件の関与を否定していた。「同僚に“同志”はいない」とも話していたが、これらSNSでのやり取りを含めた記録は警視庁も押収しており、捜査の進展が待たれる。
教え子と保護者の信頼を100%失った森容疑者とは、いったいどういう人物なのか。逮捕当日の19日夕方、東京都日野市の自宅を訪ねた。登記簿謄本で確認すると、2017年に新築されたばかりの瓦屋根の2階建て住宅だ。自宅前で様子をうかがうと、弟らしき若い男性が姿を現した。ワイシャツにスラックスというエリートサラリーマン風のたたずまいだ。
「崇翔さんの弟さんですよね」と記者が声をかけると「家族です」と続柄については答えず、淡々と「家族としての見解だけを話させていただきますが、それだけでいいですか?」と確認を求め、こう話した。
「事件のことは聞いておりまして、私としてもそれは家族として慎重に重く受け止めております。私たちにできることは、被害者の方々のフォローを彼が専念してできるようにサポートしていくことです」
森容疑者から何を聞いていたのかを確認すると、「なんて? 報道の件があったという風に聞いているので。それを私も軽く拝見して、まぁ、あの、そこは重く受け止めてますので…」と答えが返ってくるばかりだった。

記者の直撃取材に応える森容疑者(撮影/集英社オンライン)
何台もトラックが停まって紙オムツとゲーム機が運ばれ…
森容疑者が6年前まで住んでいた日野市内の都営アパートには、一家のことをよく覚えている住民がいた。
「森さん? たしかに前に住んでましたね。お母さんとお父さんだけでいるときは、中国語で話していました。子供たちはみんな日本で育ったと思います。直接ご本人から聞いたわけではありませんが、ここの都営住宅には15年以上前からお住まいのようでしたから。上の男の子2人は地元の小学校、中学校を出て、2人とも勉強ができる賢い子だと聞いたことあります」
兄弟には妹もいて、5人家族だったようだ。両親は日本語も堪能だったという。
「ご両親とも日本語はペラペラで、日本人と話すときは普通に日本語でしたし、何かトラブルを起こしたなんて話も聞いたことないですよ。お母さんはベランダでタマネギか何かを育てたりしてましたけど、どんなお仕事をされていたのかはわかりません。5、6年前に近くに家を建てて引っ越すという話は聞いていましたが、普通の方たちという印象しかないですね」

森容疑者(キッド)がおこなっていたSNSのやりとり
別の住民は、都営住宅の前に停まったおびただしい数のトラックから、膨大な紙おむつを運び出す森容疑者の母親の姿が忘れられないという。
「7、8年前の小さいころ、アパートの前に十台近くトラックが停まっていて、お母さんがそこから紙オムツをどんどん家に運びこんでいました。紙オムツだけでなく、トラック荷台から大量のプレイステーションを運びこんでいるときもありました。逆にそれらをトラックに積み込んで出ていくシーンも何度も見かけたし、どんな仕事をしていたのか…」
さらにまた別の住人も、紙オムツを大量に運び込む様子を鮮明に覚えていた。
「紙オムツはかなりの数なので、中国に送っているんだろうなと勝手に思っていました。奥さんは可愛らしい方というか、当時40代と聞いてびっくりするくらい若く見えました。旦那さんも普段はあまり見かけませんが、アパートで定期的に行う植木の伐採などを手伝ってくれたり、穏やかで人当たりのいい方でしたよ」
いっぽうで、「子供たち」の印象は、都営住宅の住民たちはほとんど覚えていなかった。
「すごくおとなしかったし、外で遊んでるのはあんまり見かけなかったですね。というか森さんの子供たちが外で遊んでるのを見かけた記憶がない」

森容疑者(撮影/集英社オンライン)
おとなしかった森少年はいつから“変貌”してしまったのか…。
TBSのニュースでは森容疑者の高校時代の同級生が登場し「当時(高校時代)も子どもに対し、わいせつな行為に及ぶ動画を撮影していた」「小さな(男の)子どもにわいせつな(行為をする)動画を(携帯で)撮っていて、おそらく何回もやってる。僕も実際に見せられた」といった内容の証言を放送。捜査関係者も「詳細は控えるが森は未成年時代に性トラブルをおこしていた」と本誌記者に語った。
8月19日、取材班は改めて森容疑者の“過去”や“同僚の同好の士”の存在について四谷大塚に回答を求めたが「現在捜査中のため警察に任せております」と返答があるのみだった。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班